第2次岸田内閣 丁寧さ忘れず独自色示せ

 第2次岸田文雄内閣がきのう発足した。衆院選で得た民意の信任を背景に、これまでの選挙管理内閣的な立場を脱し、本格的な政権運営に乗り出す。

 今週に入り、岸田首相は「デジタル田園都市」といった看板政策の実現に向けた会議を矢継ぎ早に立ち上げている。

 来週には新型コロナ禍への経済対策を取りまとめる予定だ。国内の感染状況は落ち着いているが、欧州などでは感染が再拡大している。感染対策を講じつつ、経済を再び回し始める環境整備に早速手腕を試される。

 自民、公明の与党は衆院選で議席を減らしたものの、安定的な政権運営には十分な勢力を維持した。首相は選挙後、自民党総裁選の目玉公約に掲げながら衆院選では封印していた「令和版所得倍増計画」に再び言及し始めた。そこには「岸田カラー」発揮への意欲がにじむ。

 これまで首相は、総裁選で支援を受けた有力者への配慮や衆院選を意識した安全運転ぶりが指摘されてきた。政権が本格始動した以上、為政者として自らの信じる政策を進めていくことは当然だろう。ただ、安倍晋三元首相がそうだったように、公約にない政策を突然強行するのはもってのほかだ。

 有権者が託した数の力には、抑制的かつ謙虚に向き合うべきだ。信条だと言う「丁寧で寛容な政治」の見せ場となろう。

 衆院選で自民党が多くの小選挙区の接戦を勝ち抜けたのは、公明党の選挙協力の貢献が大きい。来夏の参院選に向け、地方も含む両党の関係は強まりこそすれ、弱まることはなかろう。

 コロナ対策の18歳以下への現金給付を巡っては、両党の考えの違いが顕在化した。敵基地攻撃能力の保有や防衛費増額についても両党の隔たりは大きい。

 衆参両院の勢力から、与党内での合意は事実上最終決定に等しい。互いがブレーキ役となることも肝要だ。世論を見据え、慎重な調整を重ねてほしい。

 衆院選で大敗した最大野党の立憲民主党は新代表を選出する手続きに入る。躍進した日本維新の会は独自の「改革」姿勢を強め、存在感を増している。

 岸田内閣の大半の閣僚はまだ国会答弁の機会がない。12月とみられる臨時国会での本格的な与野党対決に備え、当面は実務で実績を示してもらいたい。

 衆院選で、与党に維新や国民民主党も加えた改憲に積極的な勢力は改正発議に必要な3分の2を維持した。首相は3年の党総裁任期中に改憲にめどをつけるとしているが、各党の考える改憲はさまざまだ。期限ありきではなく、改憲に慎重な勢力も含め、そもそもの必要性や目的から議論を尽くす必要がある。

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