「日々切り詰め…知ってほしい」 九州の市民「聞く力」に切実な注文

 自民党総裁選や解散・総選挙を経て、10日発足した第2次岸田文雄内閣。新型コロナウイルスなど諸課題への対応は待ったなしの状態。もう、“政治ショー”は要らない。九州の市民や識者は、首相自身が繰り返す「聞く力」と「スピード感」の有言実行を求めている。

 現在、国内では低い水準で推移する新型コロナの新規感染。だが医療現場では再燃、逼迫(ひっぱく)の懸念が根強い。「第6波」を見据える北九州市立八幡病院の伊藤重彦院長は、入院の要不要が分かれる軽症者の受け入れが鍵を握る、とみる。

 ただそれには療養先のホテルや対応する保健所のマンパワーが欠かせず「地域の事情に合った態勢が取れるような支援を」と注文した。

 コロナ禍で極まる困窮世帯の支援が急務なことは言うまでもない。所得制限付きとなる見通しの18歳以下への10万円相当の給付。福岡市の母親(29)は「本当は、全て現金の方が助かった」と漏らす。昨年離婚し、1~4歳の3児を育てる。パートは週6日。市民が貯蓄に回さないためにクーポンを活用する考えも理解できるが、将来の不安の方が大きい。「日々切り詰めている家庭の暮らしぶりを知ってほしい」。その願いは切実だ。

 首相が主導する「新しい資本主義」。社会の富の「分配」を促すため、賃上げをした企業の税制優遇などを掲げている。福岡県飯塚市で水処理プラントなどを手掛ける企業「コースイ」の鶴田和寿会長は「賃金を上げたいのはやまやまだが…」。

 国税庁によると、赤字企業の割合は6割を超えるという。鶴田会長もコロナ禍の厳しい経営環境をしのいでいる。一過性の施策に頼る効果は限定的だとし、「多くの企業が利益を出せるよう一体的な改革を進めてほしい。回復と成長があっての分配だ」と言葉に力を込めた。

 安全保障環境は厳しく、首相は防衛力の強化に取り組むとしている。だが、超大国が強力過ぎる武器である核を持ち合うことで、互いに核を使えない状況で安定を保つ「核抑止論」が機能していないことは、中国の台頭を見れば明らかとも言える。長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授は「核抑止によらない新たな道を探る必要がある」と主張。長崎と同じ被爆地・広島にルーツがある首相のけん引力に期待している。

 (平峰麻由、斉藤幸奈、坪井映里香)

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