「しぶとく伝える」ミャンマーの今 北角さん、友の解放を信じて

 クーデターが起きたミャンマーで、国軍に一時拘束された日本人ジャーナリスト北角(きたずみ)裕樹さん(45)が日本帰国後も支援し続けるミャンマー人の映像作家がいる。友人のテインダンさん(37)。現地で4月に拘束され、今も収監されたままだ。北九州市の国際映画祭に参加した北角さんはテインダンさんの短編映画をPRし、「彼の今の状況を知ってほしかった。現地の様子を今後もしぶとく伝えていく」と力を込めた。

 北角さんは2014年にミャンマーへ渡り、首都ヤンゴンを中心にフリーのジャーナリストとして活動。2月のクーデター後も、民主化を求める現地の人々の声を世界へ発信したが、4月に国軍に逮捕された。ヤンゴン市内のインセイン刑務所に約1カ月収監された後、解放され帰国した。

 テインダンさんは6歳のとき、平和な暮らしを求めて家族で日本に移住した。映画学校を卒業後、現場で経験を積み、18年から日本とミャンマーで活動。ミャンマーでの仕事を通じ、北角さんと知り合った。

 「彼は自分のキャリアを母国のために生かしたいと思っていた。政治的な活動には関心が低い方だった」

 将来アイドルのプロデュースなどを計画していたテインダンさんは今年初めごろに現地入り。クーデター後「事件をでっち上げられて」(北角さん)、4月に国軍に拘束された。約1カ月後、裁判の際に北角さんと再会したテインダンさんは、ひどい拷問を受けていると訴えた。「現地では長時間の取り調べや棒で何度も殴打されるなどの拷問が横行している」と北角さんは強調する。

 短編映画の題名は「めぐる」。テインダンさんがクラウドファンディングで資金を募り、20年に完成させた30分の作品だ。入社試験に臨む日本人女性を主人公に、前向きに物事に取り組むことの大切さを、時間軸を交差させながら描いた。

 作品は、北九州市で5~7日に行われたライジングサン国際映画祭で最優秀日本短編映画賞を受賞。北角さんは6日の上映時のあいさつで、テインダンさんの状況を説明し「ミャンマーでは少なくとも9千人以上が拘束されている。僕はいろんな人に助けられて釈放された人間で、苦しむ人々を助ける義務がある」と述べた。

 ミャンマーは国軍と民主派の挙国一致政府(NUG)の対立などで治安が乱れ、今も毎日数十人が逮捕されている。物価高も深刻という。だが、国軍の情報統制で現地からの情報はなかなか伝わってこない。

 北角さんは「長年日本に暮らし、日本人と同じような感覚を持つミャンマー人が捕らわれの身であることを知ってもらいたい。少しでもミャンマーに関心を寄せてほしい」と語った。

(稲田二郎)

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