産前から母の自立まで一貫支援 虐待防止へ「福岡モデル」、初の拠点

 福岡市は11日、子育て支援事業に取り組む日本財団(東京)と協力し、困窮する妊婦や育児の悩みを持つ母子家庭などのサポートを一元的に担う「ワンストップ型母子支援拠点施設」を同市早良区に開設すると発表した。子育ての悩みを一元的に受け付けることで母親の利便性を高め、早い段階から継続的に関わることで虐待などの悲劇を防止するのが狙い。ワンストップ型の母子支援拠点が開設されるのは全国で初めてという。

 市は母親を支援するため、保健師の訪問相談や子どもの一時預かりなどの事業を展開している。だが、支援内容は妊娠中や産後、子どもの発育段階などで分かれ、サービスによって窓口も異なるため、情報が共有されないといった課題が指摘されている。

 新拠点は、現在、妊娠相談などをしている社会福祉法人「福岡県母子福祉協会」の産前・産後母子支援センター「こももティエ」(同市早良区)の機能を拡充する形で開設。運営は同協会が行い、2023年度の運営開始を目指す。妊婦から就学前の子どもを持つ母親までを幅広く支援対象とし、保育士や心理カウンセラー、助産師らがさまざまな悩みに対応。授乳方法や離乳食の作り方を教えるといったことのほか、母親の経済的自立に向けた資格取得や職業訓練などのサポートにも取り組む。

 厚生労働省によると、20年度に子どもが親などから虐待を受けたとして児童相談所が対応した件数は全国で20万件を超え、過去最多を更新した。福岡市でも、20年度に児童相談所に寄せられた相談件数は2637件と最多を記録した。

 政府は09年施行の改正児童福祉法で、産前から支援が必要な女性を「特定妊婦」と明記。厚労省の19年の調査では、特定妊婦は全国で約8200人が把握されている。「親に言えない」「彼氏が産むことに反対している」といった複合的な問題を抱える人も多く、安全に出産できても生活が立ち行かなくなる危険がある。虐待に加え、専門家が立ち会わない孤立出産や、乳児の遺棄事件は全国的に後を絶たない。

 こももティエは現在、こうした特定妊婦の支援を続けているが、大神嘉施設長(56)は「特定妊婦の枠では救いきれない女性もいる。母子を幅広く救う一貫した支援態勢の実現は大きな意味がある」と話す。

 同法は16年にも改正され、子どもを育てる保護者を支援することが自治体の「責務」と規定。日本財団と福岡市で新たな子育て支援策を協議し、今回の新拠点開設で協力することになった。財団は資金面で後押しする。高島宗一郎市長は「今回の取り組みを全国のモデルにしたい」と期待を込めた。

 (野間あり葉、小川俊一)

福岡県の天気予報

PR

PR