長崎と鹿児島は「日本一」、九州のガソリンなぜ高い?

 原油高の影響で燃料価格の上昇が止まらない。経済産業省が10日に公表したレギュラーガソリンの都道府県別の平均小売価格は長崎県と鹿児島県が共に1リットル当たり176円40銭で全国トップ。九州の平均価格(171円80銭)は地域別で沖縄に次ぐ高値となった。ガソリンスタンド(GS)の価格表示を見て驚いた人も少なくないのでは。なぜ九州はガソリンが高いのか。

 「レギュラー173円」「ハイオク184円」-。長崎市内のセルフ式GSには、こんな価格表示があった。仙台市から家族4人で観光に訪れ、レンタカーでグラバー園などを巡っていた会社員阿部航介さん(31)は「今まで見た中で一番高い。この先も旅行するには車が必要なので仕方ないけど…」と肩を落とした。

 経産省によると、8日時点で長崎県内のレギュラー1リットル当たりの平均価格は全国平均より7円40銭高い。この1年半で40円以上値上がりした。県内のGSなどでつくる県石油商業組合の上野一茂専務理事は「仕入れ値の上昇が激しすぎて小売価格に転嫁しきれない業者もある」と頭を抱える。

 背景には「輸送コスト」がある。海外から輸入された原油は製油所で精製され、タンカーやタンク車などで各地の中継基地に運ばれるため、ガソリンなどの価格は製油所から距離が遠い場所ほど高くなる傾向がある。国内の製油所は関東や関西に集中し、九州は大分県の1カ所だけ。全国一の有人離島を抱える長崎県では輸送費が高くなる上、消費量が福岡県の半分以下と少ないことも影響しているという。

 離島の長崎県五島市ではレギュラー価格が190円のGSもあった。同組合によると、給油の際、満タンにしないドライバーが増えるなど買い控えも顕著になっているという。

 離島の多い鹿児島県も高値が続くが、九州唯一の製油所がある大分県が174円10銭と全国で7番目に高いのはなぜか。桃山学院大の小嶌正稔教授(石油流通論)は「この製油所から出荷されるガソリンが県内で圧倒的なシェアを占め、競争が働いていないため」と分析。福岡、佐賀、熊本各県で全国平均を下回るのは「競争が働いているからだ」とみている。

 燃料価格高騰はコロナ後を見据えた世界的な需要拡大が要因だが、主な産油国は今月4日、来月の追加増産を見送り、高騰はしばらく続きそうだ。小嶌教授は「高騰は消費を落ち込ませ、経済回復に水を差している。日本では円安により影響が長引く可能性がある。給与が上がらない中、消費者にとって厳しい冬になりそうだ」と話している。

 (松永圭造ウィリアム、泉修平、野田範子)

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