パートナー失ったリロ いつまでも元気でいてね

ラッコ飼育員便り④

 マリンワールドの人気者、リロ(雄14歳)は、繁殖を目的にマリンワールドに来ました。パートナーだったマナと初めて繁殖に挑戦したのは2016年3月3日です。それまでも同じプールにはいたのですが、アクリル板を隔てて泳いでいました。初めて接触した際は、ガッとリロがマナに覆いかぶさって暴れました。優位性を示そうとする行動で、どんな動物でも行う習性です。ただリロは「紳士」なので、スタッフが引き離した時、マナにけがはありませんでしたよ。

 しばらく、引き合わせたり離したりして慣れてくると、仲むつまじい様子を見せたので、終日一緒のプールに入れました。そこまで半年くらいでした。ただ、その後の数年間、なかなか妊娠には至らなかったので、獣医師と相談して、日照時間を調整するようにしました。夏は午前6時半~午後10時まで、冬は午前9時~午後5時までと自然環境により近くなるよう調整したのです。水温も12~16度の間で変化させたり、葉酸を与えたりと試行錯誤を重ねました。

 今年1月、22キロだったマナの体重が23、24と少しずつ増えていき、翌月には25キロ近くにまで増えました。「これはもしや」とエックス線で撮影すると赤ちゃんの骨を確認。しばらくすると胎動もありました。エックス線撮影は、事前に訓練をしていたため、マナを押さえつけることなく、体に負担なく実施できました。マナの排便を検査していた岐阜大によると、前年の10月ごろに妊娠していたのではないかとのことでした。マナは国内飼育の「4世」。「5世」が誕生したら国内で初の例になるはずでした。

健康管理し、マナの分も…

 「ついに」「やった」。スタッフみなが喜んだものの、数日後、マナが陸で急に動かなくなり、餌も食べなくなりました。すぐにお世話になっている動物病院に行ったところ、胎動もなくなっており、帝王切開をしましたが、子宮に穴が開いており、赤ちゃんは助かりませんでした。

 「マナの命を助けてほしい」。手術には私も立ち会いました。心臓マッサージなど、あらゆる手を尽くしましたが、思いは届きませんでした。

 水族館で働いている以上、動物の死には多く直面します。ただ、マナは当館で生まれ、人工哺育で成長したということもあり、思い入れは強いものがありました。パートナーのリロもとても悲しんでいると思います。

 リロにはマナの分も長生きしてほしい。当館では、健康管理のため10月から採血を開始し、白血球の数などをチェックできるようになりました。マリンワールドの人気者リロには、いつまでも元気な姿を見せてほしいと思っています。

(マリンワールド海の中道・海洋動物課主任 濱野真さん)

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