プロペラ、空路図…安部龍太郎さんが「物言わぬ証人」を平和記念館へ

 東洋一の規模を誇ったとされる旧日本陸軍大刀洗飛行場(福岡県)を題材としたノンフィクションを刊行した直木賞作家の安部龍太郎さん(66)=同県八女市出身=が13日、読者からもらい受けた旧陸軍の戦闘機部品などの戦争資料を大刀洗平和記念館(同県筑前町)に寄贈した。戦後76年がたち、戦争体験者が少なくなる中、記念館は「物言わぬ証人」として、戦争の歴史を後世に伝えていく。

 寄贈品は九三式単軽爆撃機の木製プロペラと西部軍管区作成の敵機来襲空路図。機種不明の戦闘機の主輪と尾輪もあり、記念館は主輪が一式戦闘機「隼(はやぶさ)」で、尾輪は二式複座戦闘機「屠龍(とりゅう)」のものと推定し、特定のために調査する。

 同飛行場は1919年に旧陸軍の航空拠点として設立。特攻隊の中継基地でもあった。2009年10月に開館した記念館には零式艦上戦闘機(ゼロ戦)や九七式戦闘機、特攻隊員の遺書などが展示されている。

 7年前に記念館を訪れた安部さんは遺品に接し、執筆を決めたという。飛行場関係者を取材し、本紙文化面で「四人の証言 大刀洗飛行場物語」(20年5月~21年2月)を連載。今年7月に「特攻隊員と大刀洗飛行場 四人の証言」(PHP新書)を刊行した。読者から、戦争資料提供の申し入れがあり、安部さんは「多くの人に見てもらいたい」と、記念館へ寄贈することにした。

 寄贈式で安部さんは「当時の状況に思いを巡らせてもらうきっかけになる」とあいさつ。記念館は14日から展示を始め、今後、企画展の開催も検討している。

 (西田昌矢)

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