「人は増えた。でも…」時短解除1カ月、客の行動変化で飲食店なお苦境

 新型コロナウイルス対策の飲食店への営業時間短縮要請が九州で全面解除されて15日で1カ月。感染者数の減少もあって夜の繁華街にはにぎわいが戻り始めたが、コロナ禍前には及ばない。「飲みニケーション」や接待が減ったり、感染予防のため2次会を避けたり。客の行動の変化もあり、休業や時短営業を乗り越えた飲食店は、まだ苦境を抜け出せないでいる。

 “花金”の12日午後9時。福岡市・天神は小雨にもかかわらず酔客でにぎわっていた。満席の居酒屋も目立ち、空席を待つ客の姿もあった。「歓送迎会に忘年会、今日はいろいろ含めた飲み会。感染拡大でいつ飲めなくなるか分からないから」。公務員の男性3人組は、1年半ぶりという2次会に向かった。

 活気が戻ったかに見えても、取材した会社員のほとんどが1軒目を出て家路に。「会社から『飲み会は2時間程度に』と言われている」(30代男性)、「まだ大手を振って飲み歩きにくい空気がある」(40代男性)。女性(28)は「職場の付き合いはほぼなくなり、飲み代を使わないのが普通になった」と笑った。

 ソフトバンクの子会社「Agoop(アグープ)」のデータによると、同日午後9時台の西鉄福岡(天神)駅とJR博多駅周辺の人出は、コロナ禍前の2019年11月平日の平均と比べ、それぞれ13・5%減、7・0%減だった。週末の13日、天神は買い物客らでにぎわったが、飲食店の客引きをしていた男性は「人はかなり増えた。でも、帰る時間が早い」。

 福岡県は10月15日から、飲食代がお得になる「Go To イート」の食事券の販売を再開。問い合わせは増えているものの、今月末に販売期限が迫る中、発行した60億円分のうち約24億円分が残っているという。

 歓楽街・中洲でも、客足の回復はいまひとつだ。

 「時短営業の要請が解除されただけでありがたいけど、コロナ以前には程遠い」と、老舗「ニッカバー七島」を営む七島最子さん(58)。12日夜、33席ある店でグラスを傾けていたのは6人。深夜まで飲む客は減り、午前2時だった閉店を2時間早めた。融資を受け、貯金も取り崩しており、「休業の協力金はありがたかったけど、いつまでも頼れない。変化に対応するしかない」と語った。

 飲食店が期待するのは稼ぎ時の忘年会シーズンだが、東京商工リサーチの調査(10月)では、福岡県の企業の62・9%が忘年会・新年会を「開催しない」と回答。中洲の小料理店の男性店主(73)は、忘年会の予約が「まだ2件」と明かす。感染拡大の次の波だけでなく、客の動向にも「不安が拭いきれない」と話す。

 老舗クラブのホステスは、常連の企業幹部から「コロナ禍で接待なしでも売り上げは下がらなかった。企業の接待は減る」と言われたといい、表情を引き締めた。「どう生き残るか考えないといけない」

 (高田佳典、森井徹)

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