気候変動会議 「1・5度」実現へ道筋示せ

 温暖化対策は世界共通の課題なのに、現状への責任が大きい先進国と新興国・途上国の間に摩擦が生じ、足並みが乱れることは珍しくない。大切なのは危機感を共有し、着実に対策を積み上げて前に進むことだ。

 英国で開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が難航の末、成果文書を採択した。

 産業革命前からの気温上昇を「1・5度に抑えるための努力を追求すると決意する」と明記された。2度未満、できれば1・5度に抑えるというパリ協定の表現から一歩踏み込んで、積極的に新たな「努力目標」を打ち出したことは評価したい。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、気温上昇が2度になると、豪雨や干ばつ、熱波といった異常気象の頻度も上昇すると予測される。夏の暑さによる疾病のリスクや食料生産への影響も増大するだろう。成果文書は今後10年間に取り組みを加速させる重要性を強調している。

 1・5度に抑える道筋を早期に確かなものにしたい。

 一つの目安が2050年までに、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることだ。日本や欧米は50年実現を目標に掲げ、大量排出国のインドも今回、70年の目標を表明した。だが道のりは険しいと言わざるを得ない。

 パリ協定に基づき、各国は30年の温室ガス削減目標を示している。COP26に先立ち、国連はこの目標が達成されても気温上昇は2度を超えるという報告書を示した。成果文書は22年末までに30年削減目標の再検討・強化を各国に要請している。

 日本は今年ようやく46%に引き上げた。さらなる上積みを検討する余地もあるはずだ。

 途上国の温暖化対策を後押しするには、先進国の資金支援も確実に進める必要がある。

 技術支援などにより他国で温室ガス排出を削減した際の運用ルールも決まった。排出削減につながる事業を展開する「脱炭素ビジネス」の活性化が期待される。環境分野で技術の蓄積がある日本はこの分野で、けん引役を果たせるのではないか。

 成果文書のとりまとめで最も難しかったのは、石炭火力の扱いだった。最終局面で「段階的廃止」から「段階的削減」と表現が弱まったとはいえ「努力を加速」することになった。

 石炭は温暖化対策の当面の焦点であり、削減に向けた文言が明記された意義は大きい。日本は電源を石炭火力に大きく頼っている。将来の廃止に向けた議論が避けられなくなった。

 世界各地で極端な気象現象やその被害が広がっている。温暖化対策に後退は許されない。

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