在外投票間に合った?投票所でスマホNG? 選挙の疑問、検証すると…

 10月の衆院選の期間中、西日本新聞「あなたの特命取材班」には、「短期決戦だが、在外投票の郵送は間に合うのか」「投票所でスマートフォンを見るのは駄目なの」などと多くの疑問が寄せられた。在外邦人や要介護者について、専門家が投票環境の改善を促しているにもかかわらず、国会での議論が進んでいない実態も浮かんだ。

 在外投票

 ≪疑問≫ 「在外投票の郵便が間に合わない恐れがある」との報道があった。実際はどうだったの?

 ≪取材班・回答≫ 2017年10月の前回の衆院選を振り返ると、投票終了までに海外から届いていなかった全国180票(小選挙区)が無効となった。内訳は、海外からの郵便投票が159票と最多で、在外公館で投票・郵送された7票も含まれる。

 総務省によると、今回の衆院選でも同様の調査を予定しているが、結果が出るまで約1年かかる。新型コロナウイルスの感染拡大で、世界的に郵送に時間を要しており、到着遅れで無効となったケースがさらに多くなる可能性がある。

 日本国籍を持つ在外有権者は約100万人。一方で、在外選挙人名簿に登録し、投票した有権者は17年で約2万人にとどまった。

 総務省の有識者会議は18年、在外有権者のインターネット投票の導入について提言。同省もその後、実証実験などで技術的な課題を確認済みだが、導入がいつになるかは決まっておらず「国会での議論の進展を注視している状況」という。

 スマホ利用

 ≪疑問≫ 投票所でスマホを閲覧しようとしたところ、係員に制止された。「保存した記事画像を投票の参考にするためだ」と説明しても、聞き入れてくれなかった。本当に駄目なのか。

 ≪取材班・回答≫ スマホの閲覧は認められる。ただ、公職選挙法は、投票の秩序や投票内容の秘密保持を乱す行為を禁じている。このため、通話したり撮影したりする行為は違反だ。投票所で、スマホなど携帯電話の利用を認めるかどうかの判断は最終的に係員に委ねられている。

 スマホの閲覧を制止されたという同様の投稿が、取材班に全国から寄せられた。公選法や、取材班が聞き取りした選挙管理委員会(選管)の見解を総合すると、係員の判断が行き過ぎていた可能性もある。正しいルールが現場に伝わっていなかったようだ。

 入院、介護

 ≪疑問≫ 入院や高齢などで投票したくてもできない人たちがいる。投票権を行使するため、制度改正や新たな支援が望まれるのではないか。

 ≪取材班・回答≫ 50床以上の病院や定員50人以上の老人ホームなどは、都道府県選管から「不在者投票指定施設」に指定されれば、施設内での投票が可能となる。身体障害者や要介護度が最も重い「要介護度5」の人たちは、郵便投票が利用できる。

 新型コロナの感染拡大を受け、郵便投票の特例法が6月23日に施行された。自宅や宿泊施設で療養する感染者や、ホテルで待機する海外からの帰国者も対象となった。

 ただ、依然として、小規模の病院に入院する患者や、要介護度4以下の人は取り残されたままだ。当事者や関係者は制度改正を求めている。

 総務省の有識者による研究会は17年、「要介護度3は寝たきりが約5割、それに近い人を含めると約8割」に上るとし、要介護度3までを郵便投票の対象とするのが適当との報告書をまとめたが実現していない。

 専門家も国会での早急な議論が必要だと指摘。バスなどで施設や地域を巡回する移動投票所の活用も望まれている。

 (竹次稔、水山真人、竹中謙輔)

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