大谷選手MVP 世界が驚き認めた二刀流

 打者としても投手としても、野球の最高峰とされる米大リーグをあっと言わせた。最高の栄誉にふさわしい活躍だった。

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手(27)がアメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。2001年のイチロー選手に続く日本人2人目の快挙をたたえたい。

 大リーグ4年目の今季、打席に立つとリーグ3位の本塁打46本、100打点、マウンドに立てばチーム最多の9勝、156奪三振の数字を残した。リーグ5位の盗塁26個を決めたことも驚きだ。投げる、打つ、走る、どれもが超一流で、米国内外の野球ファンをとりこにした。

 メディアが大谷選手に好んで使う表現「異次元」も誇張ではない。往年の投打二刀流の名選手、ベーブ・ルースと並び称される歴史的な評価を得た。

 大谷選手といえば、九州の野球ファンにとって忘れられない試合がある。16年7月、福岡市のヤフオクドーム(当時)であった福岡ソフトバンク-北海道日本ハム戦だ。

 「1番・投手」で先発した日本ハムの大谷選手は初回、先頭打者で初球を右中間スタンドにたたき込んだ。投げては8回無失点で勝利を飾った。この日のプレーは大谷選手の底知れぬ可能性を強く印象付けた。

 それから5年を経て、身長193センチの体はたくましさを増した。大リーグのパワーとスピードに対応する技術を磨き、二刀流は比類なきレベルに達したと言ってよいだろう。

 親しみやすい人柄も周囲を魅了した。ファンやチームメートだけではない。対戦チームの選手も、試合中にちゃめっ気のあるやりとりに興じていた。

 特筆すべきはグラウンドやベンチのごみを拾う姿が称賛されたことだ。高校時代の目標達成シートに書いていた振る舞いをスター選手になっても続ける。誰からも好感を持たれるゆえんだが、簡単なことではない。

 本塁打王争いをしていた夏場に、日本は新型コロナの感染者が急増した。医療や暮らしへの影響が深刻になり、先行き不安が増していた。そこに一筋の光を見る思いで、米国発の大谷選手のニュースを楽しみにしていた人も多かっただろう。

 大谷選手はポジションや役割の専門化が進む野球界に衝撃を与えた。広く見れば、分業による効率追求が重視される社会にも一石を投じたと考えたい。

 大谷選手はもう来季を見据えている。今週、東京で記者会見して「一番は健康でシーズンを通して出続けること」と抱負を語った。控えめな言葉に自信がうかがえる。来季はさらに進化した二刀流を期待したい。

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