HTB生みの親・故神近義邦さんの自伝出版 IR誘致に危機感抱き、環境への思い後世に 

 ハウステンボス(HTB、長崎県佐世保市)の創業者で、昨年9月に78歳で亡くなった神近義邦さんの自伝「シーボーンキングダム-千年の時を刻む-」が出版された。HTBには長崎県がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指しており、神近さんは「環境未来都市」を掲げた自身の理念を後世に伝えようと生前、原稿を書きためていたという。

 執筆を支えた経営コンサルタント会社「エコ研究所」(同市)の石橋卓弥社長によると、きっかけは神近さんがIR誘致構想を知った2019年4月。当時は誘致に懸念を示し「オランダ側との協力を象徴する施設群の解体を見過ごすわけにはいかない」と自費出版を思い立った。

 400ページ余りの自伝では家族との思い出や旧西彼町職員、料亭総支配人の時代を振り返り、1980年の「長崎バイオパーク」、83年の「長崎オランダ村」開園を経て、92年にHTBが誕生するまでを述懐。出張で訪れたオランダで自然に配慮した干拓と街づくりに感動し「エコロジーとエコノミーを共存させる環境未来都市をつくろう」と決意、帰国便の機内で一睡もせずに「オランダ村計画」を書き上げた思い出などをつづっている。

 IRについて神近さんはその後、県の担当者と会って自身の思いが理解されていると感じて和解しているが、自伝は「当時より深刻化している地球環境のすさまじい変化に警鐘を鳴らしたい」という遺言に基づいて出版された。石橋社長は「情熱を傾けることの大切さを若い人に伝えられれば」と話す。志學社刊。3575円。 (才木希)

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