大分空港「宇宙港」へ着々 盛り上がる官民、残された簡単でない課題

 航空機を使って人工衛星を発射する「宇宙港」として、大分空港(大分県国東市)を活用する計画が実現に向けて進んでいる。米ヴァージン・オービットがANAホールディングス(HD)や大分県と提携し、2022年の打ち上げ開始を目指す。アジア初の取り組みだけに法令の整備などの課題もあるが、宇宙関連産業や観光への期待が膨らんでいる。 (御厨尚陽)

 オービット社は航空事業などを世界展開する英ヴァージン・グループ傘下で、小型人工衛星の打ち上げを手掛ける。今年1月に米国で衛星10基を軌道に投入する発射実験に成功し、6月には商業打ち上げを実現した。22年には英国でも打ち上げを計画している。

 オービット社はアジアの拠点として大分空港に着目し、昨年4月に大分県との提携を公表。今年10月にANAHDと事業展開で基本合意した。ANAHDは、人工衛星の打ち上げを希望する企業に搭載スペースを販売し、空港の地上支援も担う。22年以降の10年間で20回、打ち上げる計画という。

 今回採用する打ち上げ方式は「水平型」と呼ばれる。米ボーイングのジャンボ機「747―400」を改造し、主翼の下に人工衛星を格納したロケットをつり下げる。ジャンボ機は空港から高度約10キロまで飛び、ロケットを切り離す。直後にロケットが点火され、宇宙に上昇する仕組みだ。

 このため、ロケットを地上から発射する従来の「垂直型」と異なり、種子島宇宙センター(鹿児島県)のような発射場は必要ない。天候に左右されず、燃料も少ないため、コストを抑えられる利点があるという。

 なぜ大分空港が選ばれたのか。宇宙港開設を支援する一般社団法人「スペースポートジャパン」(東京)がオービット社に仲介した。①離陸に必要な3千メートル級の滑走路がある②航空便が混雑していない③国東半島沿岸に立地する海上空港のため事故時のリスクが低い―といった理由を挙げる。

 19年夏に打診を受けた大分県でも誘致の機運が盛り上がる。ロケットや人工衛星の部品と燃料のサプライチェーン(供給網)の構築や、新ビジネスの創出で地場企業に恩恵があると想定。大分市中心部と大分空港をホーバークラフトで結ぶ海上交通の整備も進め、温泉地との相乗効果で年間8万人の観光客を見込む。県内の経済波及効果は5年間で102億円に上ると試算する。県先端技術挑戦課の堀政博主幹は「地方創生の起爆剤になる」と期待する。

 民間の動きも活発だ。もともと石油コンビナートや自動車、精密機械などの産業が集積しており、今年2月には民間主導で一般社団法人「おおいたスペースフューチャーセンター」(大分市)を立ち上げた。会員には地場企業を中心に約40社が名を連ねる。衛星データ活用や宇宙食開発などが始まり、同センターの高山久信専務理事は「県の本気度も伝わり、多くの企業が熱心だ」と手応えを語る。

 計画の実現に向け、政府は昨年6月に閣議決定した宇宙基本計画で、宇宙港の整備を政策目標に初めて明記した。ただ、打ち上げに関する国内の法令整備や事業展開の許認可の取得などが必要で、関係者は「海外の企業が国内でロケットを取り扱うなど、解決すべき課題は多い」と指摘する。

 スペースポートジャパンの青木英剛理事は「人工衛星の打ち上げは世界中でニーズがあるが発射場所は不足しており、大きな産業となる可能性がある」とした上で「各国との競争に勝つためにも、政府は法整備を急ぐべきだ」と訴える。

 宇宙港 人間や人工衛星を宇宙に送る拠点で、世界中で開発や検討が進む。大分空港のように航空機の空港を兼ねる施設もある。日本をアジアの宇宙ビジネスの中核にするため、政府は米国との連携も視野に整備する計画を掲げる。

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