天神の成長するサンゴ⁉ 「いろんなものに化けられる」ホテルに潜入

ナオちゃんの天神ビックリバン❶

 天神に巨大なサンゴがそびえていた。驚いて近づくと、不思議な編み目模様の外壁のビル。下の方からツタが少しずつ絡んでいる。その成長とともに、このビルも変貌していくのだろう。

 ビルは福岡市中央区の今泉公園のそばに立つ。右上に「lyf」のロゴ。私、記者の平原奈央子(愛称ナオちゃん)が目指していたのはここだ。エレベーターで3階に上る。色とりどりのソファに座り、お茶や読書を楽しむ人がいれば、スーツ姿で仕事に集中する人も。

 この6月、シンガポールの宿泊施設運営会社「アスコット社」の若者向けブランドが日本に初進出して開業したホテル「lyf Tenjin Fukuoka(ライフ天神福岡)」のロビーだ。どこかカフェを思わせるラフさが心地よい。

 新型コロナウイルス禍で世界中の宿泊施設が苦しむ中でのスタートだった。支配人の井上絵梨さん(40)によると、開業延期も経験したという。現在の状況を尋ねると、驚きの答えが返ってきた。今年10月の緊急事態宣言の解除で旅行客も増え始めているが、主軸をなすのは福岡市内というからだ。

 ホテルで気分を変え、仕事や休暇を楽しむ「ワーケーション」「ステイケーション」の利用者だ。何かと息苦しい世の中、新しいホテルの楽しみ方が福岡で胎動していた。

 井上さんにホテルを案内してもらう。「ライフへの愛を語りすぎるかもしれません」との前置きが頼もしい。

 客室はバリエーション豊かな壁紙に加え、天井や壁に博多織や屋台のおでんなど福岡の風情が描かれている。ベッドに寝転がって眺めるだけで楽しそう。廊下を歩けば、壁にシンガポールのアーティストが描いた作品を発見。窓から「サンゴ」の一部が見える部屋もあり、海の中にいるような錯覚も。

 ベッド下はゆとりをもたせ荷物を収納できるようにしている。コンパクトだが、逆に肩肘張らずに利用できる。

 ロビーでは福岡在住のイラストレーター、イフクカズヒコさんの大作が目を引く。最新の調理器具がそろった自炊スペースもあるが、最大の特徴は「いろんなもの(用途)に化けられる空間」という。

 テーブルやソファを移動させながら、音楽ライブや英会話交流、陶器市、男性向けのスタイリング講習会など、宿泊客でなくても参加できるイベント企画の場に“変身”する。

 「これからもどんどんいきますよ」と井上さん。既に和菓子作り体験などが企画されているほか、近隣の音楽スタジオと連携し、音楽クリエーターの宿泊料を安くする実験も始めている。

 気になる場所があった。バーカウンター周辺の雰囲気はどこかで見たことがあるなと思っていたら、博多港のコンテナをイメージしたものだった。シンガポールと福岡はともに海運都市。世界は海でつながっている。

 スタッフの出身地は米国、メキシコ、タイなど多国籍。それぞれ写真や動画撮影、デザインなどプロ並みの腕前を持つという。井上さん自身もシンガポールや中国、韓国で計12年間暮らし、豊富な海外経験とホテル勤務のスキルで支配人に抜てきされた。何かが生まれる予感がする。

 「福岡は人と人がつながりやすいフレンドリーな街。新しい人と知り合うたびに何か一緒にやりたいね、と話が弾みます」と井上さん。天神ビッグバンの工事のつち音を聞きながら、街は新しい熱源を蓄えている。(平原奈央子)

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 天神ビッグバンの進展とともに変わりゆく福岡都心。福岡市博多区出身で、駆け出しの頃から都心の文化や話題を取材してきた記者、平原奈央子はこの夏、転勤で5年ぶりに福岡に戻ってきた。街の変わりようにビックリしながら、新たな息づかいを感じます。 ※随時掲載

 lyf Tenjin Fukuoka(ライフ天神福岡) NTT都市開発の手掛けたビル「レソラ今泉テラス」の3~9階。基本料金は1泊4840円(税込、別途宿泊税200円)。部屋はスタンダードツイン、ダブル、バルコニー付のコーナーツインの3種類。092(753)8695。

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