RCEP発効へ 中国の振る舞い見極めよ

 世界最大級の巨大自由貿易圏が来年1月に誕生する。日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が署名した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定である。

 15カ国合計の経済規模と人口はともに世界の3割を占める。自由貿易を拡大しアジア地域の発展と安定につながるよう日本がリード役を務めたい。

 オーストラリアとニュージーランドが国内手続きを終えたことで、ASEAN10カ国とASEAN以外の5カ国のそれぞれ過半数の手続きが完了という協定発効の条件が整った。まず10カ国でスタートする。

 日本にとってRCEPが意義深いのは、隣国である中韓両国との初めての経済連携協定(EPA)であることだ。貿易相手国としても中国は最大、韓国は米国に次いで3番目である。中韓との経済交流をさらに拡大して経済成長につなげたい。

 政府によると、RCEPによる経済押し上げ効果は実質国内総生産(GDP)の約2・7%と見込まれる。これは欧州連合(EU)とのEPAや日米貿易協定、環太平洋連携協定(TPP)を上回るものだ。

 日本の貿易額のうち、EPAと自由貿易協定(FTA)の締結国の占める割合は8割を超えた。日本の通商戦略は大きな節目を迎えたと言えよう。

 RCEP参加国で経済規模が最も大きい中国は、日本など11カ国が加盟するTPPへの加入を求めている。TPPに比べ緩いRCEPのルールを中国が順守できるかが、今後の加入交渉を占う試金石ともなる。RCEP発効後の中国の振る舞いをしっかり見極める必要がある。

 TPPを巡っては台湾もほぼ同時に加入を申請し中国が反発している。この問題はアジア太平洋経済協力会議(APEC)のオンライン首脳会議でも話題となった。TPPの11カ国全てがAPECに参加しているためで、中国、台湾双方が加入への意気込みをアピールした。

 ただ中国経済は国有企業優遇や知的所有権保護などに問題を抱える。その改善がないまま中国が加わることになれば、21世紀型のハイレベルな枠組みとされるTPPが変質しかねない。経済力で他を圧倒する中国に主導権を奪われる懸念すらある。

 その意味で、APEC首脳会議で岸田文雄首相が「TPPは不公正な貿易慣行や経済的威圧とは相いれない」と中国をけん制したのは当然である。

 自由で開かれたインド太平洋をつくるためにも、RCEPの交渉から途中離脱したインド、トランプ前政権下でTPPから離脱した米国の復帰を粘り強く働き掛けたい。

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