文通費見直し 議員特権にあぐらかくな

 「永田町の常識」を問い直す契機とすべきだ。小手先の対応で終わらせてはならない。

 国会議員に月100万円支給される文書通信交通滞在費(文通費)が、10月は1日しか在職していない衆院初当選の新人議員や元議員に満額支給されていた問題を受け、法改正が行われる方向となった。

 きっかけはある新人議員の素朴な疑問だった。所属する日本維新の会が見直しの動きを見せると他党も追随し、法改正のほか、10月分の文通費の寄付を表明するなど素早く反応した。

 2010年に議員歳費を日割り支給とする法改正が行われながら、文通費の月額満額支給は放置されてきた。今回の見直しを主導した維新も、副代表の吉村洋文大阪府知事が衆院議員から大阪市長選に出馬する際、在職1日で月額満額を受け取っていたことが判明した。

 新人議員が問題視するまで、民間ではあり得ない特別扱いに疑問を抱かなかったとしたら、先輩議員は猛省すべきである。

 文通費は「公の書類」の発送や「公の性質を有する通信」などに用いるのが法の規定だ。ただ使途の報告義務はなく、使い残した場合の返還義務も目的外使用への罰則もない。仮に私的に流用したとしてもチェックしようがない。「第2の歳費」とも指摘されるゆえんだ。

 文通費のほかにも、選挙区と東京を往復するための無料航空券(クーポン)や公設秘書の給与・手当などが、1日だけの在職で満額支給されている。

 政治家個人の資金力により政治活動に格差が生じることは避けたい。地方選出議員には交通費もかさむ。経費を公金で手当てすることは民主主義の実践に必要なコストだと言えよう。

 ただし、あくまでも政治活動の質を維持し、無駄遣いしないことが大前提だ。有権者が支出の概要や妥当性を判断できる透明性の確保を強く求めたい。

 自民、立憲民主、維新各党の国対委員長は、来月召集見込みの臨時国会で文通費を日割り支給に変更する歳費法の改正で合意している。それは当然のことであり、この際、領収書による使途公開や使い残し分の返納義務にも踏み込むべきだ。

 文通費が現在の支給額となって28年がたつ。インターネットの発展で通信コストは比較にならないほどかからなくなっている。航空券やJRの無料パスも支給される中、二重取りとの批判もある。既得権益にあぐらをかくことなく、徹底的な見直しが国会に求められている。

 有権者の目は厳しい。最も肝心なことは「政治はカネがかかるもの」という決まり文句を疑い、それに決別することだ。

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