3回目のワクチン 接種の前倒し検討したい

 新型コロナ対応で3回目となるワクチンの接種が12月に始まる。円滑に進むのか、政府の対応には懸念を禁じ得ない。

 接種のタイミングについて、厚生労働省のワクチン分科会は2回目から8カ月以上を基本とし、自治体の判断で6カ月に短縮することを容認した。ところが直後に、担当の大臣らが「8カ月以上が原則」と強調し、全国知事会から「方針が二転三転して現場は混乱している」と批判が上がる一幕があった。

 結局、知事会の提言を受け、国は6カ月に短縮する場合の判断基準を作成し示すことになった。都道府県との調整が不十分なまま政府が方針を打ち出して混乱するという、過去にも繰り返されてきた問題が再び頭をもたげた。反省を求めたい。

 ワクチンは接種から時間がたつと徐々に効果が弱まるとされる。重症化を防ぐ効果は比較的長く続くようだが、感染予防の効果は2回目接種から約半年で半減するとの研究がある。米ファイザー社によると、2回目から約8カ月後の追加接種でも抗体量が増えた。高齢者では発症と重症化双方の防止に効果があったともいう。

 3回目の接種を迅速に拡大していくことは、感染拡大の次の波を防ぎ、経済社会活動への影響を抑える鍵となるだろう。

 残念ながら、3回目接種を巡る日本政府の判断と準備にはスピードと丁寧さが欠けると言わざるを得ない。接種を実施するのは自治体であり、医療従事者や医療機関の協力態勢は地域によって大きく異なる。国は自治体との緊密な連携や情報交換に一層力を入れるべきだ。

 2回目の接種から8カ月というタイミングは、接種会場の確保といった自治体の準備にも配慮しつつ、最終的には欧米の先行例に準じて決まった。しかし欧州の一部では感染が再び爆発的に広がる。ロックダウン(都市封鎖)を決めた国もある。

 感染再拡大に直面する隣の韓国は、60歳以上の3回目の接種を2回目の6カ月後から4カ月後へ前倒しを決めた。日本国内も8カ月ではなく6カ月後の接種を求める声がある。

 現在、国内の感染状況は落ち着いているが、感染が増加に転じると後は速い。政府は12月に医療従事者から始める接種を加速させ、重症化リスクが高い人を中心に6カ月後接種を実現することも検討したい。

 政府は1、2回目と異なるワクチンを打つ「交差接種」も認めたが、接種後の副反応や抗体量の調査結果を直ちに公表すべきだ。副反応を心配する声は根強い。多くの人が安心して3回目接種を希望できる環境と体制を整えることが前提となる。

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