自民最大の「集票マシン」不適切な政治活動浮き彫り 全容解明は遠く

 全国の郵便局長によるカレンダー配布問題は26日、「全国郵便局長会」(全特)が日本郵便の経費で購入されたカレンダーの政治流用を指示したと認定され、全特会長ら96人を処分する異例の事態に発展した。自民党最大の「集票マシン」とされる全特の不適切な政治活動の一端は明らかになったが、会社側は配布の詳しい状況は把握していないのに、「支援者も広い意味で郵便局のお客さま」として経費の目的外流用は否定した。「内輪」による調査は踏み込み不足の内容で、専門家からは徹底した調査を求める声が出ている。

 「会社の業務と局長会活動が、混然となっていた」

 同社の立林理代表取締役兼専務執行役員は記者会見で慎重に言葉を選びながら説明した。

 訓戒処分となった9人の「主幹地区統括局長」は、いずれも全国約1万9千人の局長で構成する全特の最高幹部。他に処分された81人の地区統括局長も、各地区で約100の郵便局を束ねる要職だ。

 全特は、過去3度の参院選の比例代表に自民公認の組織内候補を擁立し、党内トップで当選させてきた。実質的に局長の人事権を持つなど同社の経営にも強い影響力を持つ。九州の局長は「処分は軽すぎるとは思うが、会社が上層部を根こそぎ処分した事実は重い。世の中から厳しい目が向けられている。今後の活動にも大きな影響が出ると思う」と話した。

 だが調査結果には現場の局長からも疑問の声が上がっている。

 調査は全特がカレンダーを組織内候補の後援会員らに配布するよう指示したと認定した。一方で、立林氏は「カレンダー配布は会社業務で行われた」などと説明し、目的外流用は認めなかった。全特にカレンダー代を損害賠償請求する考えもないという。

 現場の局長が顧客や支援者にどのような言葉を掛けてカレンダーを渡したのかなども確認されず、どれだけの数が流用されたのかも不明のまま。それでも立林氏は「全貌の把握は十分できた」と繰り返した。

 東北の局長は取材に「局長会の地区役員の指示を受け、参院議員への支援のお礼を伝えながら配布した。経費が目的外に使われたのは明らかだ」と証言する。調査結果は四国地方局長会では「不正な指示は出されなかった」と認定したが、西日本新聞が入手した同局長会の内部資料には、カレンダー配布を「参院選に向けたお客様・支援者対策」と記載していた。

 政治とカネを巡る問題に詳しい日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「誰の指示でどのようなことが行われたのか詳細な事実関係が明らかになっておらず、責任の所在も曖昧だ。調査が尽くされたとは言えない」と指摘した。 (宮崎拓朗、小川勝也)

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