修学旅行は再開したけど…福岡市、出発前1週間のオンライン授業に賛否

 新型コロナウイルスの新規感染が全国的に低く抑えられていることを受け、小中学校では延期していた修学旅行を実施する動きが出ている。福岡市の学校では、出発の1週間前からオンライン授業への切り替えを実施するなど、旅行直前に感染者を出さないよう知恵を絞る。一方、現場を預かる教諭からは、子どもの様子が数日間も直接見えないことや、画面を見続ける児童らの健康面などに対し不安の声が上がる。

 「学級閉鎖等による旅行取消を避けるため、出発7日前からオンライン授業に切り替える」

 月内いっぱいでの緊急事態宣言の解除を控えた9月下旬。福岡市教育委員会は全市立学校に対し、文書でこう通達した。同市では例年、1学期に修学旅行を実施する学校が多いが、福岡県内には5~6月にも宣言が出されており、小中学校など計211校が10月以降に延期していた。

 同市では、昨年までに各児童・生徒にタブレット端末を貸与済み。同市教委の担当者は、オンライン授業への切り替えについて「旅行中止だけはなんとしても避けたい。デジタル化推進という市の強みを生かせる機会でもあると判断した」と狙いを明かす。

 感染症が専門の下野信行・九州大病院グローバル感染症センター長は、福岡市の対応について「子ども同士が直接会う機会を1週間減らせば、感染リスクは減る」と一定の評価。その上で「学校に行かなくていいからといって友達と遊んでしまえば、逆にリスクは上がる。学校側は子どもたちにオンライン授業の趣旨をしっかり説明する必要がある」と話す。

 一方、学校現場からは「今の感染状況でここまでする必要があるのか」と疑問視する意見も。今月28日からの修学旅行を控え、オンライン授業を行っていた市立小の男性教諭(47)は「画面越しでは子どもの表情がよく分からず、1週間も直接会えないのは不安」とこぼした。体育や音楽などオンラインでは実施しにくい単元を入れ替えるなど、2学期全体の授業計画を組み直す必要があり、業務量も増えたという。

 最も気掛かりだったのは、1日4時間近くタブレットの画面を見る子どもたちの健康面。「オンライン期間の後半に入ってから『目が痛い』『頭が痛い』という声を聞くようになった」。男性教諭のクラスでは共働き家庭が多く、約半数の児童が1人で授業を受けたが、十分なサポートができない状況だった。「事前準備も含めて『修学旅行』なのに。市教委にはオンライン授業の実施の是非を各校に判断させてほしかった」

 コロナの新規感染者数はこのところ全国的に少なく、九州も同様の傾向。ただ、北九州市では今月23日に小学校でクラスター(感染者集団)の発生が確認されるなど、ワクチン接種ができない子どもへの感染リスクも懸念されている。

 同市では、旅行の1週間前に児童・生徒と教職員にPCR検査を実施。熊本市教委は、各校に対し旅行先の感染状況などの項目が書かれたチェックシートを渡している。また、同市立小中学校の多くは、各校の判断で3~4日前からオンライン授業や午前授業に切り替えているという。

 (野間あり葉)

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