すぐそこにあるパン【食べる本、読む料理 川野里子1】

 食べたことのないもの、永遠にわたしの口には入りそうにない料理が本のなかにとどまっている。本は冷蔵庫よりずっと食品の保存に適していて、湯気を立て油を滴らせ出来たてのまま本棚に収まっている。そういうご馳走(ちそう)が子供時代から鬱積(うっせき)、いや蓄積している。ぎっしり詰まった魅惑的な食べ物はせめてときどき取り出して眺めてみるべきだ。

         *

 たとえば大草原を旅する開拓家族の物語、『大草原の小さな家』は子供のわたしの情熱の中心だった。熟読した。家族が大草原で食事するシーンを。...

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