日本郵便調査 問題の矮小化は許されぬ

 最初に結論ありきだったのではないのか。これだけ根の深い問題をおざなりの調査で幕引きすることは許されない。

 日本郵便の経費で購入されたカレンダーを、全国の郵便局長が自民党参院議員の後援会員らに配布していた問題である。

 日本郵便は、会社として政治活動をしているような誤解を生じさせる不適切な指示があったことを認め、関係した局長ら96人を処分した。

 郵便局長の処分としては異例の規模という。一見、厳正に対処したようにも見えるが、その前提となった内部調査の結果には首をひねらざるを得ない。特に不自然なのは、政治活動を目的とした配布指示があり、一部の局長はこれに従ったと認めているのに、政治活動への流用はなかったと結論付けた点だ。

 「不適切な指示」を出していたのは、郵政民営化まで「特定郵便局」と呼ばれた小規模局の局長らでつくる任意団体、全国郵便局長会(全特)である。

 全特は各地方局長会を通じ、議員の後援会員らにカレンダーを配るよう各地区代表の統括局長にメールで指示した。統括局長の約4割がこの指示を配下の局長に伝えていたという。

 局長たちが後援会員らに年末年始のあいさつに行きカレンダーを配って協力への感謝を伝えていたとしても、日本郵便は後援会員も広い意味で顧客に含まれるから問題ないという。耳を疑う話だ。政権与党と関係の深い全特への配慮から、問題を矮小(わいしょう)化しているとしか思えない。

 配布されたカレンダーは2018年度からの3年で計約508万本に上る。経費約10億円は日本郵便の広告宣伝費から出ている。一部が全特の活動に使われたのは明らかで、返還を求めるのが筋ではないだろうか。

 この問題は西日本新聞などの報道で発覚した。日本郵便は局長ら約千人に聞き取り調査を実施したという。この中で、郵便局のロビーを訪れた顧客を後援会に勧誘するよう全特が指示していたことも確認した。ところがこちらも、問題となる行為はなかったと結論付けている。

 調査はこれで終わり、新たな事実があれば必要な調査を行うという。それでは報道を後追いするだけではないか。事実を認め、問題に向き合うべきだ。

 日本郵便内では局長による詐欺やパワハラなどの不正が相次ぎ表面化している。原則転勤がなく、外部の目が届きにくいことが背景にあるとされる。

 全特が局長の採用に関与したり、局長が局舎を所有して賃料を得たりすることを日本郵便も認めているという。こうした既得権益にもメスを入れることが信頼回復への第一歩である。

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