オミクロン株 流入を前提に対策徹底を

 ウイルスの脅威を甘く見て感染爆発を招いた二の舞いを演じてはならない。初動段階から事態の先を見越して、封じ込めの手だてを尽くすことが肝要だ。

 新型コロナの新たな変異株「オミクロン株」の感染者が国内でも確認された。ナミビア(アフリカ南部)とペルーから、それぞれ先月下旬に成田空港に到着した外国人で、入国検査時に陽性反応が出たため検体を解析した結果、感染が判明した。

 いずれも隔離措置が取られ、同じ航空機で入国した乗客らの感染は今のところ確認されていないが、油断は禁物である。

 ウイルス表面の突起物に多数の変異が見られるオミクロン株は、先月初めに南アフリカで発見されて以降、欧州や北米、アジアなど各地に広がっている。今のワクチンでは十分な効果が得られなかったり、重症化率が高まったりする恐れもあり、世界保健機関(WHO)は「懸念される変異株(VOC)」に指定して警戒を呼び掛けている。

 先月末に外国人の新規入国の全面禁止に踏み切った日本政府はさらなる規制強化を検討している。国際ビジネスをはじめ留学生や技能実習生の受け入れにも支障が生じるなど、影響は多方面に広がる。それでも水際対策は初動対応の鉄則である。やむを得ない判断だろう。

 問題は、その先である。過去の教訓に照らすと、変異株は既に国内の市中に流入、あるいは早晩流入する可能性が高い。肝心なのは、そうした事態を想定し、対策の網を今のうちから最大限に広げておくことだ。

 変異株を迅速に検出する検査体制の構築は当然として、感染者が出た場合の疫学調査の徹底も欠かせない。感染力や重症化リスクが従来より高い場合、医療提供体制は維持できるのか。病床の大幅増を軸にした政府の新たな「総合対策」を計画から実施に移すことも急ぎたい。

 国内では、きのうから3回目のワクチン接種が始まった。その効果が変異株に対してどこまで見込めるのか、不安視する国民も多かろう。政府は国際社会と連携して詳しい解析を進め、得られた情報や必要な対策を国民に丁寧に説明するべきだ。

 折しも岸田文雄政権は国内の感染状況の改善を受けて入国規制や行動制限の緩和策を打ち出し、経済活動の回復に政策のかじを切ろうとしていた。それが一転した事態に戸惑いや落胆の声も聞かれるが、対応が後手後手に回った前政権の轍(てつ)を踏まないことが何よりも重要である。

 私たち一人一人もここでいま一度、緊張感を呼び覚まし、3密(密閉、密集、密接)の回避をはじめとした日常の感染防止対策を地道に励行したい。

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