給付クーポン経費900億円超「やむを得ない」 公明代表発言で批判再燃

 政府が新型コロナウイルス経済対策に盛り込んだ18歳以下への10万円相当の給付を巡り、世論の批判が再燃している。現金とクーポンに分けて配ると、現金一括より事務経費が900億円超、余計にかかることが明るみに出たからだ。政府、与党は「ばらまきにしないための必要経費」との立場だが、野党側は「妥当性が乏しい」として6日召集の臨時国会で追及する構え。公明党の衆院選の目玉公約を自民党が尊重して形にした「連立政権の成果」だけに、与党側は世論の動向に神経をとがらせている。

 所得制限付きの子ども給付は年内から現金5万円を、残る5万円分をクーポンで来春をめどに配る計画。

 11月30日、公明の山口那津男代表が記者会見で「一定の経費が現金給付よりかさむのは当然で、やむを得ない」と述べると、インターネット上には非難の声が吹き荒れた。「血税を無駄遣いするな」「国民と感覚がずれている」-。給付総額1兆9千億円に対する「ばらまき」批判が一定程度落ち着き、政府関係者も胸をなで下ろしていたさなかの「ぶり返し」となった。

 事の発端は、11月26日の衆院予算委員会理事懇談会。立憲民主党の後藤祐一氏が財務省をただすと、現金一括にした場合と比べて経費が約900億円膨らむことが判明。国会内外で火の手が上がった。国民民主党の玉木雄一郎代表はツイッターで、経費分を活用すれば学生や困窮者支援を拡充できる、と指摘。日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事も「完全な愚策だ」と論難した。ネット上には「クーポンではなく現金を配れ」との声が相次いだ。

 与党内には、自公政権維持の原動力となった看板政策でありながら、「経費の議論まで詰め切れていなかった」(公明中堅)という引け目もあり、世論を無視できない。自民の茂木敏充幹事長は「経費の合理化を図る」と説明。自治体の実情に応じてクーポンではなく現金給付も可能とするとの閣議決定を踏まえ、山口氏も「自治体の自主的な判断を尊重する」と発言、クーポンありきではない姿勢を強調した。給付が貯蓄に回るのを防ぐクーポンの名目は、対応次第で骨抜きになる可能性もある。

 衆院選後初の臨時国会に臨む岸田文雄政権に対し、野党側が900億円超をかけてまでの費用対効果などを攻め立てるのは必至。政府が必要経費の正当性について納得のいく説明ができるかは見通せない。

 首相は党政調会長だった昨春、困窮世帯を中心に1世帯30万円を配る補正予算案が決定しながら土壇場で公明に押し切られ、1人10万円になった苦い記憶がある。政権幹部は漏らす。「首相にとって給付政策は鬼門だ」 (大坪拓也)

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