辺野古不承認 政府は計画に固執するな

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡り、沖縄県は防衛省による設計計画変更の申請を不承認とした。辺野古移設に関する政府と県の対立は、岸田文雄政権になっても和らぐことはなく、新たな法廷闘争に発展する可能性さえ高まっている。

 今回の国による設計計画変更は、辺野古沿岸の埋め立て予定地に軟弱地盤が見つかったことに起因する。政府は砂を締め固めたくいなど約7万本を打ち込む大規模な地盤強化が必要だとして、計画変更を申請した。

 こうした工事内容の変更により、工期は想定の2倍近く、総工費も約2・7倍の約9300億円に膨らむと見込まれる。これほどの変更を余儀なくされること自体、計画のずさんさを露呈していると言える。

 沖縄県は不承認の理由を、沖縄防衛局が軟弱地盤の最深部を調査しておらず、地盤の安定性を十分検討していないなどと指摘している。玉城(たまき)デニー知事は「無意味な工事をこれ以上継続することは許されない」と政府を厳しく批判した。

 これに対し政府はあくまで工事を続行する構えで、行政不服審査法に基づく審査請求などの対抗措置を検討する。この措置を県が不服として行政訴訟を起こし、結論が裁判に持ち込まれる見通しが強まっている。

 沖縄では2019年の県民投票で辺野古埋め立てへの反対が投票の7割超を占めた。県内移設に反対する民意は明確だ。

 政府、与党は来年秋の知事選で、移設絶対反対を唱える玉城知事に代え、移設容認派の知事を誕生させることにより、県の姿勢を変える戦略を描いているとされる。「言うことを聞かないのなら、知事をすげ替えればいい」という強引な政治手法である。これでは「人の話を聞く」という岸田政権のスローガンとは正反対だ。

 政府と県の対立が長期化すれば、最優先課題である「普天間飛行場の危険除去」は遅れる一方だ。普天間飛行場返還の日米合意から既に25年が経過した。政府の計画通りに代替施設の工事が進展しても、返還は2030年代以降になるという。

 政府はこの際、工事の長期化が必至となっている辺野古移設を根本から見直し、代替施設の建設と切り離して普天間飛行場の返還を急ぐべきではないか。

 「辺野古が唯一の解決策」としてほころびだらけの計画に固執する政府の姿勢はもはや不合理だ。返還合意から時がたち、軍事技術の進歩により、米国の抑止力維持の戦略にも変化が生じている。政府は米国に遠慮せず「普天間飛行場の先行返還を」と提案してほしい。

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