カネも人も吸い上げる「1強」福岡市が突入した超高齢社会

 福岡市の高島宗一郎市長3期目の任期満了まで6日で残り1年。政令市で最も高い増加率で人口160万人を超え、九州経済での存在感がますます高まる中で、同市への一極集中を懸念する声も一方にはある。「九州の1強」となって久しい同市の立ち位置が今、問われている。

 11月4日に市内のホテルであった福岡の国際金融拠点化を目指す産学官組織「TEAM FUKUOKA(チーム福岡)」の総会。福岡県内にとどめていた会員企業を九州各県の企業にも広げることを決定。副会長の高島市長は「福岡だけでなく九州に広げたという意味で、チャレンジする企業の皆さんと一緒に取り組みを進めていきたい」と強調した。

 高島市長らが昨年9月にチーム福岡を立ち上げて以降、ITを活用した新たな金融サービス「フィンテック」など国内外10社を福岡市へ誘致することに成功した。「グローバルに展開していく上で、福岡に誘致した企業の活動範囲を広げる必要がある」(関係者)との狙いだが、九州の他都市にとっても、経済活性化の恩恵が得られやすくなる利点があるという。

 福岡市に対する地方の視線はさまざまだ。「東京と地方を結ぶ中枢機能」として期待する自治体がある中で、「九州各地からの人口が福岡市や都市圏に流入する『一極集中』が進み過ぎており、地方の経済衰退を招く一因になっている」(長崎県の自治体幹部)と警戒する自治体もある。

 日銀福岡支店が2021年1~10月に金融機関に支払った総額(支払高)は約1兆3533億円。一方で金融機関が同支店に預け入れた総額(受入高)は約2兆6439億円と1兆2906億円の流入超過となった。20年前の01年1年間の流入額(約1733億円)の7・4倍以上だ。対して北九州、熊本、長崎、大分の各支店は流出が多く、流通面でも一極集中の傾向が強まっている。

 人口はさらに顕著だ。総務省が1日に公表した2020年国勢調査。市の人口は161万2392人となり、前回15年と比べ、増加数、増加率共に政令市で最も高かった。対して北九州市と九州の各県庁所在地は宮崎市を除いて減少。九州経済調査会の小柳真二研究主査は、ここ数年、職を求めて北九州市や長崎市などからの転入が特に増えていると指摘。「コロナで弱まったものの、収束すれば、再び九州から福岡市への一極集中が強まる可能性がある」と話す。

 福岡市にも懸念材料はある。今回の国勢調査で、人口の15~29歳の若者比率は16・8%と依然高かったが、65歳以上の割合である高齢化率が22・1%になった。国連が「超高齢社会」と定義する21%をついに超えた。同市もまた、高齢化への本格的な対応が求められていく。その意味で、問題を共有する九州他都市との協力関係も重要になる。

 高島市長は任期満了まで1年を受けた西日本新聞のインタビューに「(コロナ禍では)福岡が九州のハブ(拠点)になり、受け皿をしっかり整備し、備える時期だ」と述べた。海外の大都市との都市間競争に対処するために、九州の他都市と連携する必要性を強調した。福岡市は真に九州のけん引役となれるのか、各地が注目している。

(塩入雄一郎)

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