臨時国会召集 論戦で岸田カラー明確に

 政権発足から2カ月余り、ようやく国会での本格論戦が始まる。「聞く力」を掲げる岸田文雄首相には、過去2代の政権と異なる丁寧な対応を求めたい。

 臨時国会がきのう始まった。岸田政権で初の補正予算案や新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」への対応などが論戦の軸となろう。

 国会の本格的な論戦は通常国会が終わった6月以来だ。この間、野党4党が7月、憲法に基づき臨時国会の早期召集を求めたが、菅義偉前首相の後任を選出する臨時国会と衆院選後の特別国会が短期間あっただけだ。コロナ対策など懸案が山積する中、政府と与党の対応はあまりに鈍いと言わざるを得ない。

 補正予算案はコロナ対策に加え、岸田政権の目玉の「新しい資本主義」関連事業も盛り込まれ、一般会計歳出は36兆円近くと補正では過去最大となった。

 首相の所信表明演説は予算の裏付けを得て、就任直後よりは具体性を増した。ただ、いまだに「新しい資本主義」が何を目指すのかが判然としない。

 首相の説明は「成長も分配も実現する」「人に温かい資本主義」などと漠然としている。一方で関連事業は持論の「デジタル田園都市国家構想」のほか、気候変動、経済安全保障まで際限がない。新しい資本主義が政策の基盤であれば、明確な定義と狙いを速やかに示すべきだ。

 補正予算案は歳入の6割に当たる22兆円が国債で賄われており、年度末の国債発行残高は1千兆円を突破する見通しだ。

 首相の演説は「危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行う。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」と強調し、財政健全化は一言「取り組む」と触れたのみだ。

 コロナ対策は不可欠だが、後世に過大なツケを回すことは許されない。予算委員会での徹底審議が必要だ。議論を呼んだ子どもへの10万円給付も、一部をクーポンにしたことによる経費増大など疑問は尽きない。

 一方、新代表に泉健太氏を選んだばかりの立憲民主党には党勢立て直しへの出発点となる。

 泉氏は「批判ばかり」とされる党のイメージ脱却に力を入れる。正当な批判はより良い対案を練る上で不可欠であり、批判と前向きな議論との適切な兼ね合いを心掛けてもらいたい。

 与野党共通の課題として文書通信交通滞在費の問題がある。この臨時国会での日割り支給への法改正で一致していたのに、野党が主張する使途公開を巡り時間不足を理由に自民党が慎重姿勢に転じた。理解に苦しむ。

 現行制度のままでよいはずはない。国民が厳しく見つめていることを忘れないでほしい。

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