「そこで提案です」脱批判路線へ立民・泉代表が初陣 首相はゼロ回答

 8日に始まった衆院代表質問で、就任したばかりの立憲民主党の泉健太代表が初めて岸田文雄首相と相まみえた。「政策提案型野党」を標榜(ひょうぼう)する泉氏は、新型コロナウイルス対応の水際対策強化、子どもに対する10万円の現金一括給付などを呼び掛け、従来の批判路線からの転換をアピール。反転攻勢への手応えは果たして、つかめたのか。 (郷達也、大坪拓也)

 「そして、提案があります。入国検疫は抗原定量検査でなく、精度の高いPCR検査を行うべきではないですか? 改善を求めます」「そこで、提案です。総理、今からでも補正予算を組み替えて、クーポンの事務費分を生活困窮者向けの給付に上乗せしませんか」-。

 この日、トップバッターで登壇した泉氏は万事、このような基調の質問を重ねていった。首相はどう対応したか。

 最初の提案には「迅速に結果が判明し、PCR検査と一致率が高い抗原定量検査が現時点では最も適している」と反論。泉氏が、日本への入国者の隔離期間が地域別に異なっている現状を10日間に統一するよう求めた提案に対しても、首相は事実上のゼロ回答を返した。

 泉氏は、18歳以下の子どもを対象にした10万円相当の給付を巡っては、自党の政権チェック能力のアピールを盛り込んだ。現金とクーポンに分けると、事務経費が900億円以上余分にかかる事実を立民議員が突き止めたとし、補正予算組み替えの提案に続けた。コロナ禍で売り上げが減った中小企業向けの「事業復活支援金」でも、泉氏は福岡市内などの商店街を視察した際に情報収集した現場の声を織り交ぜつつ、「要件が厳しく、規模が不十分だ」と切り込んだ。

 首相はやはり、これらの提案に対し言質を取らせず、感情の波をあらわにすることもなくかわし続けた。

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 枝野幸男代表時代の立民の国会論戦は「攻撃力」(党幹部)を前面に押し出し、政府、与党のコロナ対策などを厳しく追及していくスタイルだった。これが、時に「批判ばかり」と映って納得を十分に得られず、先の衆院選で辻元清美氏ら論客が落選の憂き目を見るなど大敗した。

 泉氏は、教訓をくみ上げて「立民が本来持っている政策重視、立案型の姿」へ路線変更するとし、この日の提案は実に17項目にも上った。「論点整理がなされ、党の今の立ち位置も示すことができ、第1ラウンドにしては上出来だ。迫力不足の面は、予算委員会でガンガンやればいい」と立民重鎮は満足げだ。

 とはいえ、現状の野党は「第三極」志向の日本維新の会も国民民主党も、立民以上の提案路線を掲げている。一方の共産党、社民党の伝統的な対決路線からは、どんどん離れていくのか。立民が、有権者の心に響く立脚点を見いだすのは容易ではない。

 泉氏に続き質問に立った立民の西村智奈美幹事長は「『分配』の具体策がまったく見えない」と主張して挑発したものの、首相は「成長も分配も実現する」と如才なく繰り返す。本会議後、泉氏は記者団に「首相は所信表明の発言の域を超えない。非常に残念だった」と話した。

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