師走に相次ぐ地震、南海トラフとの関連は?

 師走に入り、大きな地震が相次いでいる。山梨県東部、紀伊水道、鹿児島県南部のトカラ列島近海…。震源はいずれも太平洋に面したエリアで、巨大地震が懸念される「南海トラフ」を思い浮かべた人は少なくない。専門家は関係性はないとしているが、自然は時に想定を上回るエネルギーを見せる。学び、備えたい。

 地震は主に地下の岩盤(プレート)の「ずれ」によって発生する。マグマの動きや噴火で生じる火山性地震もある。

 日本気象協会によると、小さな揺れを含めればいつもどこかで地震が起きている状態。今月1日の24時間だけで「揺れをわずかに感じる人がいる」震度1から、「ほとんどの人が感じる」震度3まで計9件発生。地震がない日はない、と言える。

 3日には「大半の人が恐怖を覚える」震度5弱が連続した。最初は午前6時37分ごろ。震源地は山梨県の富士五湖付近、地震の規模のマグニチュード(M)は4・8。午前9時28分ごろには、南西に約350キロ以上離れた和歌山県の紀伊水道でも起きた。M5・4だった。

 南海トラフの「トラフ」は英語で「海底の谷間」を意味する。海側のプレートが陸側のプレートを引きずり込みながら地下へ沈んでいく際、引きずりに耐えられなくなった陸側が跳ね上がって地震が発生、巨大津波を引き起こす可能性が指摘されている。

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 これについては専門家らが明確に関連性を否定する。甲府、和歌山両地方気象台によると、そもそも山梨の震源地は南海トラフの「想定震源域」に入っていない。和歌山の場合は域内に位置するものの、このポイントにおける海側と陸側のプレートの境界面は深さ約40キロ。立体的に考えた場合に今回の震源地(深さ約18キロ)とは距離がある、というのが理由だ。

 さらに言えば、二つの地震の震源地は相当離れており、地震同士の関連もないとみられる。偶然、同じような時間帯に同じ震度の揺れが起きたと考えられる。

 4日からはトカラ列島近海で地震が相次ぎ、9日には悪石(あくせき)島で震度5強を観測した。10日午後3時現在で震度1以上の揺れは計260回。この海域では今年4月にも地震が多発しており、鹿児島地方気象台は「以前から短期集中的に地震が発生する場所」と説明。東方に位置する南西諸島海溝や、火山帯であることとの関係を指摘する識者もいるが、気象台の担当者も「どの程度の(因果)関係があるのか分かっていない。未解明な部分が多い」と話す。南海トラフとも無関係とみられる。

 (梅沢平、重川英介)

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津波で建物被害甚大 発生想定の南海トラフ

 近い将来、発生が確実視されている南海トラフ巨大地震。2012年に国が発表した被害想定では、死者が最大で32万3000人、建物の全壊や焼失は238万6000棟に上る。国の地震調査研究推進本部はマグニチュード(M)8~9の地震が30年以内に70~80%の確率で発生すると算出している。

 南海トラフは駿河湾から日向灘沖にかけて、海底に溝状に延びる。一帯では安政東海・南海地震(1854年)など100~200年周期で大地震が発生。同時に複数の地震が起きるケースがあれば、昭和期には東南海地震(1944年)の2年後に南海地震が発生した。

 九州で予想される津波の高さは、宮崎県串間市17メートル▽宮崎市16メートル▽日向市、大分県佐伯市15メートル-など。死者数の想定は宮崎、大分両県を中心に最大6万人とされている。

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