【独自】「顧客情報流用ない」へ回答変更促す 日本郵便、調査で流用認めた局長に

 全国の郵便局長が会社経費で購入されたカレンダーを政治流用した問題に関連し、日本郵便が顧客情報を政治活動に流用した有無を書面調査した際、「はい」と回答した局長に対し、コンプライアンス担当社員が「いいえ」に変更するよう促したケースが複数あることが、関係者への取材で分かった。現場からは「問題を矮小(わいしょう)化するための隠蔽(いんぺい)工作ではないか」との声が出ている。

 書面調査は13~16日、約1万9千人の全小規模局の局長に質問票を配布して実施。質問は、了解を得ずに顧客情報を支援者名簿に記載したことがあるか▽局舎内で顧客に政治活動への支援を依頼したことがあるか-など6問。「はい」「いいえ」で答える形式で、会社側が回答者を把握できる仕組みになっていたという。

 複数の関係者によると、コンプライアンス担当社員は「はい」と回答した局長に連絡。「誤記入ではないか」「支援者も広い意味では顧客なので、政治活動には当たらない」などと説得し、「いいえ」に変更するよう促したという。西日本新聞は、こうした説得が九州など少なくとも4地方で行われたことを確認した。

 同社は取材に対し「質問の趣旨を正しく理解しているか確認し、誤解があれば回答を修正してもらっている。事実を曲げようという意図は決してない」と説明。ある局長は「結論ありきの調査になっており、会社には自浄能力が失われている」と嘆いた。

 複数の局長は取材に「保険や貯金の顧客情報を支援者リストに書き写したことがある」「来局したお客さんに後援会への加入申込書を記入してもらった」などと証言。ただ、ほとんどは「処分されたくないので、全て『いいえ』と回答した」と話しており、実態を反映した結果が得られない可能性もある。

 政治活動は、小規模局の局長でつくる「全国郵便局長会」が擁立した自民党参院議員の支援のために行っている。顧客情報の政治利用は、局長会地区役員の指示だったとの証言もあるが、調査には指示の有無を尋ねる項目はない。九州の局長は「正直に答えても、現場が勝手にやったと結論付けられるのではないか」と不信感を口にした。

 同社は11月26日、配下の局長に後援会員らへのカレンダー配布を指示したとして、統括局長90人を懲戒処分にしたと公表。だが、配布などの際に顧客情報が悪用された疑いが残ったままで、記者会見では調査が不十分との指摘が相次いだ。

 同社は「調査は終了した」との説明を一転させ、顧客情報の取り扱いなどに関して調査を継続すると表明していた。東海地方の局長は「全局長を対象に調査したというアリバイづくりで終わらせずに、実態を把握して再発防止につなげるべきだ」と訴えた。

 (宮崎拓朗)

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