進まぬプラごみ分別回収 九州の自治体、処理場整備の負担重く

 2022年4月から自治体の努力義務となるプラスチック製品の家庭ごみの分別回収について、九州の県庁所在市と政令市計8市がいずれも実施しておらず、導入に向けたモデル事業の検討も福岡、北九州の2市にとどまることが西日本新聞の取材で分かった。国は新法「プラスチック資源循環促進法」施行でプラ製品を新たに努力義務対象に加え、脱炭素の旗を振るものの、分別徹底の難しさや財政負担などが重しとなって自治体の動きは鈍い。

 家庭プラスチックごみのうち、食品トレーなどプラスチック容器包装の分別回収は00年度から努力義務となっており、九州の県庁所在市と政令市8市では福岡、佐賀以外の6市が既に実施。一方、新年度から努力義務の対象になる玩具などのプラ製品の分別回収は8市とも行っていない。

 環境省が全1747市区町村を対象に21年7~8月に行った調査でも、回答した867団体のうち製品分別するのは3%と低迷。施行後5年以内の分別検討も7%にとどまった。

 国は分別リサイクルした場合の温室効果ガス削減効果を「焼却・発電した場合の2倍以上」として、容器と製品両方を回収する自治体を対象に財政支援に乗り出すが、詳細は決まってない。プラごみを圧縮する中間処理施設拡充や回収費増加などが見込まれ、「財政負担が大きく、国の施策の詳細が決まらないと動きづらい」(大分市)という。

 佐賀市は1997~2002年度に容器と製品両方を分別回収したが、引き受けるリサイクル業者が見つからず、結局、保管していたプラごみを焼却し、発電に使った。日本容器包装リサイクル協会に登録する事業者は九州で6カ所しかなく、モデル事業の検討を進める福岡市も導入の条件の一つとしてリサイクル業者の拡大を挙げる。

 21年度中にモデル事業を実施し、22年度以降の規模拡大を目指す北九州市の担当者は「分別の行為自体が住民意識を育てる面もあり、大都市が取り組む意義は大きい」と解決策を模索する。 (川口安子)

段階的導入検討を

 九州大大学院の島岡隆行教授(廃棄物工学)の話 新法は施行までの準備期間が短く、産学官民いずれも受け皿が整っていない。住民の分別意識が十分でなく、リサイクル技術も実用化まで行き着いていないものが多い。分別回収しても固形燃料などにする「サーマルリサイクル」のままであれば、焼却処理と変わらずに温室効果ガスを出す。自治体は回収後の有効な活用策を見極めた上で段階的に導入すべきだ。新法によってリサイクル技術の進展が期待され、受け皿の整備に合わせ少しずつ進めることが大切だ。

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