石炭削減効果10万トン…中国で話題「ゼロ・カーボン暖房都市」って?

 【北京・坂本信博】中国北部などで冬季に暖房用の石炭の需要が増す中、原子力発電所の排熱を使って市街地に暖房を供給する新たな原子力暖房システムが山東省や浙江省でこの冬から稼働し、話題を呼んでいる。山東省海陽市は「中国初のゼロカーボン暖房都市」として年間約10万トンの石炭使用量を削減する効果が見込まれており、中国各地に広がる可能性がある。

 中国北部などの都市では毎年冬になると、熱水や蒸気を街全体のビルや建物内に循環させる大規模な集中暖房システム「暖気(ヌアンチー)」が稼働。石炭が主燃料で、大気汚染の原因となってきた。

 海陽市政府などによると、現地の海陽原発1、2号機の商業運転が始まった2019年以降、原子力暖房システム「暖核1号」の導入を市政府と電力会社の共同プロジェクトで計画。施設整備に10億元(約180億円)が投じられてきた。

 原発の原子炉から発生する高温高圧の水蒸気を発電所の内外で複数回にわたって熱交換し、市街地に張り巡らされた集中暖房システムのパイプ網で各家庭に熱を届ける仕組み。一部地域での実証実験を経て昨年11月から市内全域の約4・5平方キロで供給が始まった。約20万人が対象という。

 新システムは、暖房供給用の石炭ボイラー12基を代替する効果があり、ひと冬ごとに二酸化炭素(CO2)18万トン、二酸化硫黄1188トン、900万キロワット時の電力を削減できるという。増設予定の原子炉も活用して供給面積を200平方キロに広げ、同省の煙台市や青島市にも導入する構想がある。

 地球温暖化の原因となるCO2の排出量が世界最多の中国。習近平指導部は30年までにCO2排出量を減少に転じさせ、60年までに実質ゼロにする目標を掲げており、浙江省の嘉興市海塩県でも先月から原子力暖房システムの試行が始まった。

 北京の電力関係者は「ゼロカーボンをアピールしたい地方政府と事業者が後に続くだろう。ただ、寒さが特に厳しい東北地方などでは、万が一供給が止まると住民の死活問題になる。技術が成熟するまでは、寒冷地以外の地域での採用が主流になるのではないか」と話している。

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