あの日の春秋:二十歳のころ何をしていましたか?(2010年1月11日)

二十歳(はたち)の誕生日のころ何をしていましたか? 1996年に東京大学教養学部で立花隆さんが開講したゼミの学生が71人にインタビューした▼「徴兵検査が成人式の代わりのようなものだった」(萱野茂さん)。「歌舞伎を3階席でよく観(み)ましたね」(曽野綾子さん)。「二十歳の誕生日にはウオツカの正式な飲み方を教わりました」(加藤登紀子さん)▼98年に「二十歳のころ」の題で出版された。「自分を発見する時期。生き方を発見する時期。一番悩み多い時期」と立花さん。「選択を迫られながら、選択ができない時期」とも(新潮文庫から)▼「なんにも自分の将来が見えなくて、当時アルバイトでやっていたトラック運転手や土木作業員にそのままなっちゃおうか、それとも数学を続けようか…、なんて思ってましたね」(秋山仁さん)▼覚えていません、と言う人もいる。「誕生日に大きな意味を感じたことはない。とくに社会が二十歳ということに大きな意味を与えていることにいつも(二十歳になる前から)反発を感じていた」(坂本龍一さん)▼何かを見つけ、悩み、反発する時期を経ずに成立する人生などない。「今の知恵で二十歳に戻れば効率のいい生き方をすると思うけど、効率のいい生き方が幸せとは思わない」(山藤章二さん)。「二十歳のころは何をやってもいいんですよ。何もやらない、というのが一番問題なんだよな」(筑紫哲也さん)(2010年1月11日)

 特別論説委員から あすは成人の日。「おめでとう」の言葉を贈りたいけれど、新型コロナ禍で成人式が2年連続で中止、延期という地域もある。人と出会い、経験を重ね、思い出になる二十歳のころ。人生の晴れやかな季節がコロナ色に染まるのは残念でならない。感染対策で、これも駄目、あれも駄目という規制ばかりの昨今。「何をやってもいいんですよ」の大切さをかみしめる。(2022年1月9日)

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