成人の日 逆境こそプラスに変えて

 九州大2年の宮崎幸汰さん(20)は長崎県五島市の五島高に在学中、仲間とともに環境団体「マイプラ」を立ち上げた。今も福岡を中心に、海岸清掃などの活動を続けている。

 大学の入学式は新型コロナ禍で中止になった。初めての1人暮らしは外出できず寂しい時期もあったが、オンラインで遠方の人とも知り合えた。悪く見えることにも良いことがある。団体名には「マイナスをプラスに」の意を込めたと語る。

 きょうは成人の日。20歳で新年を迎えた今年の新成人は全国120万人に上る。

 多くは宮崎さんのように2年前の春、高校を卒業した。卒業式や入学式はなくなり、進学先でずっとオンライン授業が続く人もいる。就職した人も予期せぬ日々に不安を募らせてきただろう。憂鬱(ゆううつ)な空気が社会を覆う。そんな時代だからこそ、新成人には力強く大人としての一歩を踏み出してほしい。逆境にもプラスの種は必ずある。

 新成人を含む10代から20代前半は「Z世代」とも呼ばれる。物心がついた頃からデジタル技術になじみ、インターネットの世界で交流を広げ、意見を発信してきた。一つの型にはまらない、多様な感性と価値観を持つ世代と言えよう。

 若い世代に期待したいのは、柔軟な創造力だ。時代は大きく変わっている。今ある仕事の3割が2030年までになくなるという民間調査もある。常識にとらわれず、あらゆる分野で既存の価値観に挑戦してほしい。

 私たちの社会には難題が山積している。人口減と少子高齢化で働き手は急速に減っていく。あちこちに根深いジェンダーギャップ(性別による格差)が残る。貧困も深刻化している。地球規模では温暖化が進む。

 昨年の国連児童基金(ユニセフ)などの調査で、日本は「世代を追うごとに世界はより良い場所になっている」と考える子ども・若者は63%いたが、40歳以上は26%だった。その差は調査対象21カ国で最大だ。多くの大人が現状に失望し、元気を失っているのかもしれない。

 この社会を「より良い場所」にする責務を担うのは本来、大人である。悲観せず、未来を見つめる新成人が仲間に加わる。心強い限りだ。重荷に感じる人もいようが、大切なのはそれぞれの場所で自分らしい歩みを進めること。地域や社会と向き合い、行動すれば、世界はきっと少しずつだが変わっていく。

 民法改正で4月に成人年齢が18歳に引き下がる。新成人はすぐに大人の先輩になる。身構える必要はない。厳しい時代であっても、のびのびと。「マイナスをプラスに」で共に歩もう。

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