中国ゲーム1.4万社倒産 正しくなければ規制…オンライン新作承認ゼロ続く

 【北京・坂本信博】ゲーム産業に対する当局の統制が強まる中国で、ゲーム関連企業が苦境に立たされている。オンラインゲームへの審査が厳格化され、昨年7月下旬以降、新作公開の承認が一本も下りない状態が続き、この5カ月で1万4千社が倒産。リストラも相次いでいる。日本など規制のない海外市場に活路を求める動きが今まで以上に加速するとみられる。

 中国ではオンラインゲームを公開する際、メディアを管轄する国家新聞出版署の審査と承認が必要になる。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、同署は昨夏から審査を厳格化。内容に法律違反や国家機密の漏えいがないかなどに加え、プレーヤーが殺人を犯すような内容や「女性的な男性」「史実の歪曲(わいきょく)」などが新たに規制されたとみられる。

 中国政府系ゲーム団体が昨年開いた研修会では、ゲームは政治色のない「純粋な娯楽」ではなく「正しい価値観」と「中国の歴史・文化への正しい理解」を反映したものであるべきだとの方針が示されたという。

 8月初旬には国営通信、新華社系の新聞の経済参考報が、オンラインゲームは子どもの精神をむしばむ「アヘン」として、中国で大人気のゲーム「王者栄耀」を手掛けるIT大手、騰訊控股(テンセント)を名指しで批判。同社や、日本でも人気のゲーム「荒野行動」で知られる中国のIT企業、網易(ネットイース)の株価が急落した。

 9月からは、18歳未満の未成年者がオンラインゲームで遊べる時間を金土日と法定祝休日の夜8~9時のみに制限することが企業側に義務付けられた。中国で深刻な社会問題となっている子どものゲーム依存症対策で新作ゲームの数を絞る方針に加え、当局によるIT業界への統制強化の一環という見方がある。

 昨夏までは国家新聞出版署が毎月1回程度、承認済みのゲームのリストを公表してきた。しかし、昨年7月22日を最後にリストの更新は止まったままだ。

 中国メディアの証券日報によると、中国には資本金1千万元(約1億8千万円)以下のゲーム関連企業が30万社以上あり、2020年は1年間で約1万8千社が倒産したが、21年は7月以降だけで約1万4千社が倒産。昨年暮れには、ネット検索大手、百度(バイドゥ)がゲーム部門を縮小し300人以上のリストラに踏み切る見込みが報じられるなど、事業縮小や人員削減の波が広がっている。

 ゲーム産業が盛んな浙江省杭州市のゲーム会社の幹部は「新作の開発を進めているが、いつになれば当局の承認が下りるか分からない。規制のない日本や韓国、米国などの海外事業に注力していく」と話した。

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