新変異株の対策 拡散速度に後れを取るな

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」による感染急増を踏まえ、政府はきのう、新たな対策を示した。

 もはや流行「第6波」に入ったと捉えるべきだろう。これまでの波とは明らかに様相が異なる。デルタ株を前提にした従来の対策の見直しは当然であり、政府の判断も新変異株の拡散スピードに後れを取ってはならない。新変異株の特性や感染状況の変化に即し、機動的に対策を練り直すことを求めたい。

 年明け後の感染者の増加はデルタ株とは比較にならない。まさに驚くほかない。新規感染者数は全国で8日に8千人を突破した。新年の1週間で約16倍に増えたことになる。

 九州7県も例外ではない。どの県も急激な感染者増に見舞われている。福岡県は3カ月半ぶりに100人を超えると、すぐに200人を上回った。鹿児島県は奄美大島の自治体に独自の緊急事態宣言を出した。

 オミクロン株は感染力が強い一方、重症化する割合はデルタ株より低いとみられる。それでも甘く見ることはできない。高齢者に広がれば、重症者が一気に増える懸念はある。軽症者でも爆発的に増えれば、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は避けられない。

 軽症や無症状でも感染者は一定期間、仕事や社会活動を休まざるを得ない。多くの職場が人手不足になれば福祉、教育など社会にとって欠かせない機能の維持にも影響が及ぼう。実際、海外では医療現場の人手不足や電車の減便に陥った国がある。

 岸田文雄首相はワクチンの3回目接種について、高齢者に加え一般分も前倒しする意向を表明した。基礎疾患など重症化リスクのある人には朗報だ。12歳未満への接種も早期に始めるという。副反応の実態も丁寧に説明することが肝要である。政府と自治体が緊密に連携し、希望者が早く接種を受けられる環境を整えてほしい。

 政府はコロナ患者の入退院に関する基準見直しの検討も急ぐという。大切なのは症状に合った治療やケアを十分提供できる体制である。この勢いで感染が広がれば、軽症の自宅療養者が増えるだろう。保健所の要員補充を急ぎ、地域の医療機関も協働して、健康観察や突然の容体悪化に十分対応できる仕組みを整えるべきだ。

 ネット上では「新型コロナは風邪のようなものになった」との風評も散見するが、うのみにできる状況にはない。市民の側も冷静、適切に行動したい。

 そのためには、新変異株の知見や地域の病床使用率などの情報を分かりやすく丁寧に伝える努力と工夫が政府と自治体に求められる。

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