「ミリ単位…その積み重ね」妥協せず追究した美しさ 体操・内村引退

 内村航平(33)にとって、体操は「自分が自分であることを唯一証明できるもの」。だからこそ、最後まで妥協なく向き合った。練習では器具に手を置く位置を確認するためだけに、2時間近く費やした。その探究心は、関係者も「ミリ単位。地味だけど、その積み重ね」と舌を巻くほどだった。

 その成果が、個人総合での五輪2連覇を含む世界大会13個の金メダル。本人が強いこだわりを持つ「美しさ」は世界中の賛辞を浴びた。全工程を丁寧に積み上げて、多くの人を魅了する。「それが本物。フィギュアスケートの羽生(結弦)君の演技も近い」という。

 内村が最も「美しさ」を感じるものは何か。答えは「建造物ですね」だった。「城が好き。人が造ったものにすごく美しさを感じる」。彼らしい言葉だと納得した。特に「白鷺(しらさぎ)城」の異名を持つ国宝の姫路城に魅了され、実際に足を運んだこともある。

 「キング」と称される存在になっても、自分の体操を追究し続けた。「美しさ」に完成形はないからだろう。「体操は無限に続くゲームを自分で体現している感じ」。昨春には「一生、満足はできないと思う。自分が引退して振り返っても、そんな感じ」と胸中を明かしたこともある。

 昨秋に北九州市で開催された世界選手権。種目別鉄棒で6位にとどまったが、生まれ故郷での現役最後の演技で、完璧な着地を決めた。「今まで散々こだわってきた着地がしっかり出てくれた」と笑顔を見せ、さらに「全てを一瞬で伝えられたのかな」と続けた。

 小学校時代は妹より蹴上がりを覚えるのが遅かったという。「すごい怖がりだった。(実家の体操教室の)トランポリンで遊ぶうちに、何も怖くなくなった」。怖がりの少年は「美しさ」の伝道師となり、数々の伝説を残して第一線から退いた。 (伊藤瀬里加)

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