「アニマルレスキュー隊」 繊細作業の何でも屋

2022ニャがさき探訪⑦

 「ニャー! ニャー!」

 廃棄された洗濯機の穴に首が挟まったのは生後間もない子猫。身動きが取れず激しく鳴いている。

 そこに駆け付けたのは男性だ。隙間から出た猫の頭を軽くなでると、安心したように「ニャーオ」とおとなしくなった。さらに男性は、万能はさみを使って洗濯機の穴の部分を広げ、猫を救助した。「よかったね」。笑顔を見せた。

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 約10分間に及ぶこの救助作業は撮影され、動画投稿サイトユーチューブ」で再生されている。その数は190万回以上(昨年12月下旬)。猫を救助し、動画の投稿者でもある男性は、動物救助の団体「プロ アニマルレスキュー隊」(長崎市西山町)の隊長、浦川たつのりさん(46)だ。

 ペットホテルを経営する傍ら動物が狭い場所で身動きがとれなくなったり、高所から下りられなくなったりしているとの通報を受け、有料で捕獲する。市内ならば1時間5500円(交通費込み)だ。出動は年間300回ほどで対象の多くは野良猫だ。動画も投稿して活動費などに充てる。

 自らを「猫の何でも屋」という浦川さん。その原点は学生時代にある。

 かつて母親が猫や犬を飼う家庭を訪れて面倒を見る「ペットシッター」の店を同市内で経営しており、自身もそのアルバイトに。かわいがられる動物が大半の一方、養育放棄状態の犬猫も目の当たりにし「(動物たちに)快適な環境をつくりたい」と関心を持った。

 大学卒業後、母の店を進化させる形でペットホテルに経営を転向。本業のペットホテルで猫や犬を預かったり、動物の毛を刈るトリミングなどを手掛けたりしつつ、二十数年前からはボランティアとして、市中心部での猫の飼い主探し、そして救助活動を始めた。

 時に崖をロープで下ったり、川を泳いだりすることも。そんな緊迫した場面であっても、救助対象である猫などにストレスを与えないよう細心の注意を払うという。救助後、通報者が引き取るとは限らず、「一度、人間への恐怖心を与えると、その後の飼い主探しは難しくなる」からだ。

 活動は口コミで広がり、依頼も増えた。有償での活動に切り替えたのは3年前。それまで20年以上無償で続けただけに、最初は金をもらうことには抵抗があった。だがペットホテル経営や飼い主探しの体験を生かした上での、神経を使って行う救助は「自分にしかできないこと」という信念を今は持つ。

 昨年12月には、市内にあるボウリング場の柱の内部に生後3カ月ほどの子猫が挟まっているのが見つかり、夜間にもかかわらず、約1時間かけて救出。捨てられたのかは不明だが「大きなけがもなく安心した」(施設関係者)と無事引き取られた。

 「動物が助けを求めて鳴く限り、今後も活動を続ける」と浦川さん。「何でも屋」は、きょうもどこかへと救助に向かうかもしれない。

(松永圭造ウィリアム、泉修平)

 =おわり

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