東証の市場再編 中途半端な改革にするな

 せっかくの東京証券取引所の改革である。中途半端に終わっては困る。激変緩和の措置は必要だとしても、基準を満たさない企業への経過措置には期限を設け、ルールの厳格な運用を徹底すべきだろう。

 東証は4月4日に市場を再編する。現在の東証1部、東証2部、ジャスダック、マザーズの4市場を、グローバル企業を中心とする「プライム」、その下部の「スタンダード」、成長性が高い新興企業向けの「グロース」の3市場に改める。

 市場ごとの特色を明確にして国内外の投資家に魅力的なマーケットにするのが目的だ。上場企業の企業統治(ガバナンス)を高める狙いもある。

 ただ東証が発表した企業の移行先を見ると、効果はまだ限定的と言わざるを得ない。改革が掛け声倒れに終わらぬよう、さらなる努力を続けてほしい。

 現在の1部上場企業の8割を超える1841社がプライムに移る。うち296社は基準を満たさなくてもプライムに移行できる経過措置を利用する。

 問題は、この経過措置の適用が「当分の間」となっていることだ。企業は基準適合に向けた計画書を公表し、その進み具合を毎年開示するとはいえ、基準を満たさない企業がいつまでも市場に残れば、改革全体の妨げになるのは明らかだ。

 一定の期限内に基準をクリアできなければ他の市場に移すなど、再編の趣旨に沿った運用に改めるべきだろう。

 プライムへの上場には、市場で流通する株式の比率が全体の35%以上、流通株式の時価総額100億円以上といった基準がある。海外投資家向けの英文での資料作成や情報発信なども必要になる。一般の株主と利益相反の恐れがない独立社外取締役が取締役全体の3分の1以上であることも求められる。

 今回の再編は企業側にとっても自社にふさわしい市場を考える機会だ。スタンダードを選んだ1部上場企業は九州で10社、全国では344社に達する。市場の特色と自社の事業内容を検討した結果だろう。体面にこだわった無理な背伸びをしない経営判断と前向きに捉えたい。

 4月以降は、新規上場と上場維持(廃止)の基準がほぼ同じになる。これまで緩かった上場廃止基準を厳格化し、上場企業に企業価値の向上を促す仕組みに改めるのは望ましい。

 東芝や三菱電機など日本を代表する企業で最近、経営を揺るがすような不祥事が相次ぐ。社外取締役の役割は重くなる一方だ。物言わぬ社外取締役を並べることに意味はない。真にガバナンスの強化へつながる市場再編、改革にしてほしい。

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