コロナ禍の入試 受験機会の確保に万策を

 大学入学共通テストが明日から始まる。新型コロナの感染者急増に不安を募らせる受験生や家族も多いことだろう。

 文部科学省が新型コロナの影響で共通テストを受けられなくなった受験生について、個別試験のみでも合否判定を可能にするなど、手厚い救済措置を講じるよう全国の大学に求めた。

 救済の道を広げることに異存はない。ただ、テスト直前のこのタイミングでの方針転換は唐突の感を否めない。感染状況が激変したとはいえ、もっと余裕のある判断もできたはずだ。

 文科省は昨年末、新変異株「オミクロン株」の濃厚接触者には受験を認めない方針をいったん打ち出し、世論の反発を受け撤回した経緯がある。今年の受験生は、英語の民間試験や記述式問題の導入を巡る大学入試改革の迷走に影響を受けた世代でもある。文科省には受験の当事者への配慮がやや不足していると言われても仕方あるまい。

 共通テストは15、16両日に本試験があり、コロナ感染などで受験できない人は29、30両日の追試験に回る。救済措置はコロナ感染または濃厚接触者となったことが影響し、どちらの受験機会も逃した人が対象だ。

 「共通テストを受けない人の方が有利ではないか」「共通テストを受ける通常の合格枠が狭くなるのではないか」-。受験生に混乱と不安が広がり、文科省は急きょホームページに「Q&A」を公開した。

 救済措置の適用には医師の診断書などが必要で、意図的に共通テストを受験しない方法は選べない。大学側は措置の対象となる受験生の合否判定を、本来の募集人員の枠外で行うこともできる。入試の肝である公平性について文科省は、各大学の厳格な判定に委ねた格好だ。

 措置の対象者はかなり少なくなるとも予想されるが、対応を迫られる大学側には相当な負担だ。本番直前のルール変更だけに、多くの大学は難しい検討を強いられよう。公平性に留意しつつ柔軟に救済措置を講じてほしい。各大学が受験生に対して可能な限り早く、それぞれの対応を公表することも重要だ。

 インフルエンザなどが流行する冬場の「一発勝負」の入試については以前から疑問視する声がある。今回の入試全体を検証し、制度改革の議論に生かすことも大切だろう。

 中学・高校も含めた入試シーズンが本格化する。オミクロン株の拡散で、今回のような新たな対応が必要となる可能性は否定できない。誰ひとりコロナ禍で受験機会を奪われることがないよう、社会全体として万策を尽くし、安心して試験に挑める環境を整えたい。

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