感染急増でも時短や移動制限せず 制限慣れの市民「新たな戦い」に戸惑い

 新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大し、感染防止と経済活動の両立を図る政府や自治体の対応に住民が揺れている。福岡県は、重症化しにくいとされる新変異株「オミクロン株」への置き換わりを念頭に「新たな戦い」を展開。独自の警報発令の基準として、医療逼迫(ひっぱく)の度合いを示す病床使用率を重視し、飲食店への営業時間短縮要請などの対策に踏み切っていない。ただ、感染力が強い同株の広がりは想像を上回り、行動制限慣れした住民は「このままで良いのか」と戸惑う。

 「使用期限延長や払い戻しはできません」。ある県内在住者は県の観光キャンペーンで購入した割引宿泊券で2月の旅行を計画したが、「第6波」を受けて断念。返金を県に求めたものの、こう断られたという。

 払い戻しの可否は警報発令が基準。病床使用率が15%になると見込まれると発令され、キャンペーンを停止、返金する想定だが、病床使用率は13日現在で6・4%で、発令時期は不透明だ。新規感染者は14日に800人に達し、わずか1週間余りで10倍に。まん延防止等重点措置の対象となった前回の「第5波」の水準に到達した。この在住者には、感染者増に行政の対応が追い付いていないように見え、「今旅行しろというのは、火中の栗を拾うようなものだ」と憤る。

 一方、経済的な制約がない現状に、休業要請に悩まされた福岡市・中洲のバー店長は「緊急事態宣言下のように飲みに来る人が激減するのが避けられる」と歓迎。ただ感染者が出た店の情報を聞くと「遠い話でない」と不安にもなる。

 このまま感染者だけでなく、濃厚接触者も増えれば社会機能の維持が困難になりかねない。政府は、警察や保育などエッセンシャルワーカーの濃厚接触者の待機期間を短縮する方針を打ち出した。

 福岡市のある保育園長は「出勤できない職員が増えれば園が運営できず、保護者が子どもを預けられなくなれば社会全体が回らなくなる。早く短縮の措置を取ってほしい」と話す。

 長崎大の柳原克紀教授(感染症学)は「重症化のリスクが低いと考えられるオミクロン株の特性を踏まえると、病床使用率を重視するのは妥当。ただ、感染者が爆発的に増えれば、重症者や死亡者も増えてしまう。過小評価せず、基本的な感染対策の徹底が必要だ」とした。

 (華山哲幸、小川俊一、森井徹)

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