水道管塗料、試験データ改ざん? 老朽管更新工事が相次ぎ中断

 水道管に使われた塗料の安全性に疑念が生じ、塗料メーカーが塗料を出荷停止した影響で、老朽化した水道管の更新工事が福岡市など九州の自治体のみならず全国で中断する事態になっている。厚生労働省は「深刻な事態」と受け止め、全国の自治体に注意を呼び掛けている。メーカーは試験データを改ざんして業界団体の認証規格を得ていた疑いがある。水質について、同省は現時点で問題ないとの見方だが、影響は広がりかねない。

 混乱の発端は、12日に塗料メーカー「神東(しんとう)塗料」(兵庫県)がホームページで公表した「不適切行為」。業界団体「日本水道協会」(東京)が定める規定外の原料を合成樹脂塗料に使った可能性に加え、温度など規定と異なる条件で試験をして認証を取得した疑いがある、と公表した。昨年11月に内部告発があり発覚したという。

 この塗料は腐食を防ぐ効果があり、水道管の外側に塗布し、管の接合部分では水に触れる。2001年11月以降に使われたとみられる。協会は今月13、14日に同社に立ち入り検査を実施。試験記録の確認や社員への聞き取りを行い、安全性の確認を進めている。

 同社の発表を受け、水道用鉄管で国内6割のシェアがある「クボタ」(大阪市)など水道管メーカーも相次いで製品の出荷を停止した。敷設された水道管は40年が耐用年数とされ、更新工事が行われていた福岡市の他にも北九州市や熊本市などで相次いでストップ。熊本市の担当者は「協会の公開する情報を待つしかない。動きようがない」。工期が延びれば予算の再編成が必要となり、福岡市は「工事の進捗(しんちょく)にどれくらいの影響があるのか心配」と気をもむ。

 九州北部の建設業者は「水道管をクボタに発注済みで、億単位の損害が出るかもしれない。埋まっている管まで撤去となれば、しゃれにならない」と嘆く。

 厚労省によると、飲み水は各自治体が定期的な水質検査をしており、今のところ安全性に問題はないという。水道事業に詳しい京都大の伊藤禎彦教授(都市衛生工学)は「前代未聞の事案。ライフラインに携わる企業の社会的な責任は大きく、真摯(しんし)な対応が求められる」と指摘した。

 (一瀬圭司、東祐一郎)

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