大逆転劇後に見た内村の誇りと意地 新たなステージでも輝きを

 内村が劇的な展開で男子個人総合2連覇を飾った2016年リオデジャネイロ五輪。現地でその瞬間を見届ける幸運に恵まれた。ベルニャエフに0・901点の大差をつけられて迎えた最終種目の鉄棒。記者席で「負け原稿」を考えながら、椅子に座って演技を待つ内村に目を移した。

 両手を使って一心不乱にイメージトレーニング。全ての力を出し切ることに集中していた。対照的にベルニャエフは内村から離れた椅子に座り、頭から上着をかぶって体を揺らして落ち着かない。くぐり抜けてきた修羅場の違いを感じた直後の大逆転劇だった。

 それ以上に激闘後の姿が目に焼き付いている。全ての取材対応を終えた直後。腰の痛みに耐えかねて顔をゆがめ、そして人目もはばからず寝転がり、天井を見つめた。キング・オブ・ジムナスト(体操の王者)の誇りと意地が伝わってきた。今振り返れば、満身創痍(そうい)の体にむち打った競技人生のピークだったのだろう。

 達観したかのような淡々とした受け答え。そこには体操への熱がこもっていた。自分が決めたことからぶれない言動。才能に頼らない努力の虫。リオ五輪後は日本体操界初のプロ転向で新たな道も切り開いた。過去の栄光にとらわれず前を見据え、野球サッカーと比べてメジャーとは言えない競技を押し上げた。

 実は取材のたびに内村と同じ「におい」を感じたアスリートがいた。昨季限りで現役を退いたラグビー元日本代表の福岡堅樹さんだ。トップアスリートが新たなロールモデルを示すためには何が必要か。内村への取材を通じて学んだ気がする。医師への道を歩む福岡さん同様、内村も新たなステージで輝きを放ち続けるはずだ。 (大窪正一)

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