「五輪目指すのは無理」体操内村が引退会見 今後は競技普及活動と技の研究へ

 体操ニッポンのエースとして2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で男子個人総合2連覇などを果たした長崎県諫早市出身の内村航平(33)=ジョイカル=が14日、都内で引退会見に臨んだ。全6種目で争う個人総合で五輪2連覇、世界選手権でも前人未到の6連覇を遂げた「キング」は涙を見せず競技生活に別れを告げた。

 スーツ姿で会見に臨んだ内村は普段と変わらないリラックスした様子だった。「競技者ではなく、演技者としてやっていくのもいい」。独特の言い回しで決断の経緯と次の夢を語った。

 昨年10月に出生地の北九州市で開かれた世界選手権の前に「練習がしんど過ぎた。本気で選手としてやっていくのは難しい」と痛感。「競技者を続けるとしたら次の五輪を目指すことになるがもう無理。一度身を引くと発表した方がいい」と区切りをつけた。

 今後は演技者として普及活動とともに技の研究を続けていくという。「体が動くまで体操を研究したい。技のやり方には答えがない」。3月12日に東京体育館で引退試合を行うことも表明。「終わりでもあるし、始まりでもある」と第二の体操人生を思い描いた。

 輝かしい実績を残しながら「競技人生に満足できているかというと、そうではない。もっとやれただろうとすごく思う」と後悔。「結果以外に残したものはなんだろう」と自問もした。世界中から称賛されながらも謙虚さと向上心を失わない姿勢が引退後も前へ進み続ける原動力になる。

 3歳から続けてきた体操。500以上習得した技の礎として挙げたのが、小学校に入る前後に両親が開いた諫早市の体操クラブで練習した鉄棒の「蹴上がり」だった。「技を覚えるのが遅かったので、覚えたときの感動は忘れられない。一つの技に対して追い求められるからこそ、質や成功率も高い。下の世代にも追い求めてほしい」。愛する体操への思いも変わらない。「体操に対して世界で一番僕が知っている状態にするため勉強し続ける。極めるという次元よりもっと上のところまでいきたい」と意気込んだ。 (末継智章)

「長い夢見せてくれてありがとう」 諫早の両親もねぎらう

 内村航平(33)が引退表明の会見をした14日、長崎県諫早市でスポーツクラブを経営する父和久さんと母周子さんがクラブで取材に応じ、「北京(五輪)から長い夢を見せてくれてありがとう」と輝き続けた息子をねぎらった。

 「とうとうこの日が来たかな、と感じた」と話した周子さん。東京五輪後の昨年8月下旬、電話で話した際に内村から「(体が)あっちこっち、ボロボロだよ」と告げられ、「無理しなくていいよ。今まで十分活躍してくれたから」と声を掛けたことを明かした。

 個人総合で五輪2連覇などを果たし、長く日本の体操界をけん引してきた内村。和久さんは「これだけモチベーションを一つ一つの大会に持っていけるのは、親ながらすごいと思う。感心している」とたたえた。引退後については「皆さんにこれだけ応援していただいた。これからは体操界に恩返しできる人になってほしい」と願った。 (古長寛人)

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