新直木賞作家は熱血ダンス指導者 今村翔吾さん、受賞作登場人物ゆかりの立花城近くで特訓

 第166回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京の料亭・新喜楽で開かれ、直木賞は今村翔吾さん(37)の「塞王(さいおう)の楯(たて)」(集英社)と米沢穂信さん(43)の「黒牢城(こくろうじょう)」(KADOKAWA)に決まった。

 今村翔吾さんの受賞作は、戦国武将の初代柳川藩主立花宗茂が登場する。宗茂ゆかりの立花山が見渡せる福岡市東区の立花高で、ダンスインストラクターの顔も持つ今村さんは、かつて踊りを熱血指導した。

 今村さんは以前、父克彦さん主宰のダンスチーム「関西京都今村組」に所属し、不登校生を受け入れる同高の斎藤真人校長の要望で今村組は2006年から2年間、定期的に教えた。

 今村組は厳しい指導で有名。07年は今村さんが単身で9月から2カ月間、生徒を特訓し、時に関西弁で叱った。「なんやわれーっ、やる気あんのんか」。本気でぶつかる熱血漢を生徒たちも信頼し、放課後、学校近くの賃貸マンションに住む今村さん宅を毎日のように訪れ、人生相談にのってもらっていたという。

 今村さんが教えた生徒約三十数人で結成した「立花組」は07年に福岡市であった「ふくこいアジア祭り」に出場。100チーム以上参加した大会で4位に入賞した。石垣を築く穴太衆と鉄砲を造る国友衆と無名の職人たちに光を当てた受賞作になぞらえ、斎藤校長は「生徒たちにも名はなくても輝ける場所に立ってほしいという優しい思いがあった」と人柄をしのぶ。

 学校近くにそびえる立花山。そこは受賞作で重要な役割を果たす立花宗茂が、城主を務めた立花山城がかつてあった。その存在も今村さんは知っていた。

 「あの2カ月間が、作品のヒントになっていたとしたら、これほどうれしいことはない」。斎藤校長は熱い指導を思い出しながら喜んだ。(山上武雄)

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