「生殺与奪は安倍さん次第」進む“高市包囲網” 花形ポストでもかすむカラー

 自民党の高市早苗政調会長が試練の時を迎えている。昨年9月の党総裁選で保守派の論客として耳目を集めたが、後ろ盾の安倍晋三元首相の影響力を警戒する岸田文雄首相から党の重要案件で抑え込まれるなど、歯に衣(きぬ)着せぬ「高市カラー」はかすみがちだ。保守層の強固な支持を強みに党務で実績を残し、求心力を高めることができるか-。

 「日本国の名誉に関わる問題だ」。19日、就任約4カ月で初めて開いた定例記者会見で高市氏は、「佐渡島(さど)の金山」(新潟)の世界文化遺産への推薦を巡り、韓国との関係悪化への懸念から明確な方針を示していない政府を突き上げた。

 総裁選では国会議員票で首相に次ぐ2位に食い込み「花形ポスト」に返り咲いた高市氏。だが、その後は順風満帆とは言いがたい。

 18歳以下の子どもへの10万円相当給付金を巡る政府、与党協議では、首相は高市氏の頭越しに茂木敏充幹事長に全権を委任。高市氏が党内の積極財政派を中心とした直轄組織を立ち上げると、今度は首相が財政再建を掲げる「対抗組織」を創設。高市氏らが主張した中国の人権状況を非難する国会決議案についても茂木氏に直談判したが、北京冬季五輪を巡る「外交ボイコット」への政府対応が決まっていないとして認められなかった。

 もともとリベラルな議員が多い「宏池会」を率いる首相は「高市氏の独走を懸念している」(自民関係者)とされ、党運営の根幹は茂木氏と麻生太郎副総裁に委ねてきた。首相は14日、高市氏と政権発足後初めて会食し、友好ムードを演出したが、「高市包囲網」は着実に築かれつつある。

 高市氏は近く本格化する夏の参院選公約作りの責任者として手腕が問われる。11日のBSフジ番組では「国家経営に絶対に関わりたいというつもりで、今、岸田総理をお支えしたい」と首相への意欲を隠さない。

 思想信条を共有する安倍氏も文芸誌インタビューで「真面目で勉強熱心、胆力もある」と太鼓判を押す。ただ無派閥の高市氏は、一時は安倍派(清和政策研究会)復帰も取り沙汰されたが、野党時代に派閥を離脱したことへの反感はいまだ根強く、当面は安倍氏の有力な「カード」として温存されるとみられる。

 安倍派関係者は「結局、高市さんの生殺与奪は、数の力を動かせる安倍さん次第だ」と冷ややかな目を向けた。(前田倫之)

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