【連載】「今いるだけで100点満点」性教育を通じて伝える“生"

 ワカモノの現在地第5部⑤

 日が傾き始めた校舎の一室で、中学2年の女子生徒がそわそわし始める。「保育園に妹を迎えに行かなきゃ」。体や心の悩みに寄り添う民間資格「思春期保健相談士」の多田加奈(40代)=仮名=は胸が詰まった。昨年、西日本の中学で性教育を教えた後、相談に乗っていた。

 家事を一手に担うヤングケアラーの女子生徒。昼間でも記憶が途切れ、急に足の力が抜けてこける-。こう訴え、自ら皮をむいて黒ずんだ指先を見せた。リストカットと同じ自傷行為のようだった。数週間後、2度目の面談では「そんな話しました?」と笑い、別人のよう。多田はつらい体験の影響で別人格が現れたのでは、と感じた。

 別の中学では、母親や不登校の姉の面倒を見る受験生に出会った。たまった思いをノートに書いては破り捨て、ストレスを解消しているという。「学校には言わないで」と懇願された。...

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