変わるPTA 上部団体を脱退 外部委託導入も 北九州市・折尾西小

「変わるPTA」(下)

 保護者が意義を感じ、参加しやすい活動へ-。そんな改革を進めるPTAの一つが、北九州市立折尾西小にある。上部団体から脱退することで予算の裁量を広げ、保護者の負担が大きい作業はなくし、外部委託に切り替えた。原動力となったのは、会長職を5年続ける保護者の決意だった。

 2016年、同小の図書館で目にした光景に、保護者の大久保無我さん(46)は絶句した。

 平日午後7時ごろに集合した保護者たちが会員名簿の連絡先に次々と電話をかけた。「来年度の委員をお願いできませんか」。夜遅くまで作業は続き、数日かけてようやく委員が埋まっていく。

 「恐怖の電話」に映った。電話をかける側にもかけられる側にも心的負担は大きい。もし誰も引き受けてくれなくなったら-。副会長だった大久保さんは、その前に活動を根本から見直すしかないと考え、翌17年度に会長になった。

 まず実行したのは、上部団体である北九州市PTA協議会などからの脱退だった。前会長の時に決まった方針で、自身も賛同していた。上部団体に支払う会費や関係費は計約20万円で予算の17%を占めた。これを自分たちが考える意義のある活動に振り向けたかった。

 協議会主催の研修会や会議への参加にも不満が募っていた。各PTAの活動を共有する意義がある一方で、自分たちの課題に直結した内容になっていないと感じることも。準備を伴う場合は負担が大きく、懇親会が付き物。飲み食いの費用がPTA会費から出されることも疑問だった。

 保護者には協議会の活動や負担金などについて、1年かけて説明。賛同を得て、17年度末に脱退した。市内には小中学校や特別支援学校が約200校あるが、当時、協議会に加入していなかったのは折尾西小だけだったという。

 組織内の改革も進めた。学年学級委員会や地区委員会など活動内容ごとに六つあった委員会を19年に撤廃。6委員会で計80人ほどが委員だったが、行事や事業ごとにボランティアを募集し、役員は希望者を充てることにした。これで「恐怖の電話」をかける慣例も廃止できた。

 外部委託も積極的に導入。多くの労力を要していたベルマークの集計作業は、障害者作業所に委託した。運動会では、保護者がわが子の応援ができるよう、周辺の警備を前会長の時代から警備会社に委託。学校主催の公開授業ではボランティアが足りず、シルバー人材センターに駐車場の誘導を依頼した。

 定期的な会合は、従来の月1回から学期に1回に減らした。ここまでした上で、慣例だった全員加入を見直すため、19年度から入会書を配る。当初の入会率は7割に落ちたが、21年度は9割を超えた。

 「会費の使い方の見直しと活動への負担軽減を実証したことで、理解を得られたのでしょう」と大久保さん。結果的に出費は抑えられ、1家庭当たり年800円、PTA会費を下げることができた。一方で、コロナ禍で楽しみが奪われた児童のために、PTA予算でプロマジシャンを招き、マジック教室を開いた。役員の希望者は少しずつ増え、大久保さんが17年度に会長になって以降、21年度は最多の14人。22年度はさらに増える見通しだという。

 1年ごとに交代する役員も多く、そもそもPTAは変化しにくい。だが、任意参加の団体である以上、活動の見直しを進めなければ、やがて賛同する保護者は減り、実際に活動が立ちいかなくなったケースもある。自分たちに適した活動は何なのか。それは各PTAに問われている。

 同じ北九州市内でも、児童数518人の折尾西小と、22人の柄杓田小では随分と様相が異なる。

 柄杓田小PTAは予算が少なく、自前で講師を招くのは難しい。上部団体を通じた学習の場や情報交換の場は貴重だという。活動をスリム化するため、宿泊行事を縮小し、ペットボトルキャップの回収をやめた。今春から入退会の用紙を配る。会長の中井聖一さん(48)は話す。

 「これまで以上に、予算の使い方や活動内容の報告を保護者たちに丁寧にしていく必要がある」 (小林稔子)

■分担金、年に数千~十数万円

 日本PTA全国協議会によると、PTA会員は全国に約800万人。各学校のPTAは、加入する市区町村のPTA連合会、都道府県や政令指定都市のPTA協議会などに毎年、会費となる分担金を支払う。金額は児童数により異なり、各PTAで数千円~十数万円程度と見込まれる。上部団体はこれを運営費として、講師を招いての研修会や会員同士が交流する大会を開く。

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