学童保育「空き」に自治体格差 急な申請、対応できないケースも

 「新1年生の子どもが、児童クラブに入れません」。福岡県久留米市の40代男性から、西日本新聞「あなたの特命取材班」に悲痛な声が届いた。放課後児童クラブ(学童保育)は共働き家庭の子どもたちが、小学校や児童館などで放課後を過ごす場所。調べてみると、福岡県内では学童保育の待機児童数に自治体で格差があった。子どもの預け先がなく親が仕事を続けられない「小一の壁」のきっかけになるともされ、国も受け皿確保を急いでいる。

 男性は共働きの妻と相談し、長女が小学校に入学したら、放課後は義理の母に長女の面倒を見てもらう予定だった。しかし、2月に義母は体調悪化で入院。慌てて学童保育に申請しようとしたが、久留米市による新年度の入会受け付けは1月までだった。

 市子ども政策課によると、申込期間中に受け付けた児童については原則入所させている。その期間以降も相談に応じているが、定員を超えたクラブについては空きが出るまで「待機」扱い。男性は「人数がいっぱいで入れない」と市から言われたという。

 民間施設を紹介されたものの、市の月額5000円と比べて2倍以上の費用だった。長女に留守番はさせられず、退院したばかりの義母に負担を承知で頼むしかなかった。男性は「義母がまた入院したら、どうしたらいいのか」と心配する。

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 厚生労働省によると、2021年5月時点で、全国で児童クラブは2万6925カ所(前年比300カ所増)あり、クラブを利用する登録児童は134万8275人(同3万7267人増)だった。クラブも児童も増えており、どちらも過去最多を更新した。

 待機児童数はどうか。全国的には21年が1万3416人と、2年連続の減少となった。指導員の講習などを担う福岡県の「学童保育協会」理事長で、北九州市立大の楠ひろゆき教授(臨床教育学)は「コロナの感染拡大で、一時期はできるだけ利用を控えるよう呼びかけたクラブも多かった。親の在宅勤務の広がりもあり、一時的に自宅保育が増えたのでは」と分析する。

 ただ、今回の投稿者のようなケースは、待機児童数にカウントされていない可能性があるという。

 久留米市によると、申込期間中に受け付けた1~3年生全員の入所を受け入れたことから「待機児童ゼロ」として国に報告。「その後に定員オーバーで入所を断ったケースもあるかもしれないが、受け付けを外部委託していることもあり、把握していない」と説明する。

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 待機児童「ゼロ」は北九州市や福岡市も達成。飯塚、春日、大野城、宗像の各市は例年、「ゼロ」という。

 北九州市では、登録児童が想定より多かった年に、既存のクラブにプレハブ教室を急きょ増設し、なんとか対応したこともあった。そのような事態を避けるため、「各校の児童数や学童の定着率などのデータを把握し、施設整備を先んじて行っている」と担当者。小学校の空き教室や市所有施設を積極的に活用する。

 一方で、なかなか待機児童が解消できない自治体もある。大牟田市では昨年5月時点での待機児童17人で、クラブに空きが出れば随時入所してもらっている。糸島市は昨年4月時点で希望者16人の利用を断った。子育て世代に人気で人口が増えていることもあり、ここ数年は待機さえできない状態が続いているという。市は「施設整備などで定員拡充を検討している」と説明する。

 ただ、施設整備や人員を確保しようにも、新型コロナウイルスの影響で学童保育のニーズが読みづらくなっているのが実情だ。感染拡大すれば希望者数が比較的抑え込まれ、収束すれば急増しかねない。

 待機児童の解消に向け、厚労省は18年に「新・放課後子ども総合プラン」を公表。23年度までに、約152万人分の受け皿を確保することを掲げる。楠教授はその実現に向け「質の高い保育には、人数だけでなく、専門性を担保した指導員の拡充が必要だ。国や自治体は、給与などの労働環境を改善してほしい」と強調する。(黒田加那)

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