「はなちゃんのみそ汁」から10年、喪失感やいじめと向き合った父娘のその後

 5歳だった娘にみそ汁作りを通して生きる力を教え、がんで他界した安武千恵さん(享年33)と家族の思いをつづった「はなちゃんのみそ汁」(文芸春秋)の出版から10年。残された夫信吾さん(58)と娘はなさん(19)のその後を描いた「はなちゃんのみそ汁 青春篇」(同)が2月に出版された。かけがえのない人を失った絶望を胸にどう生きるか-。そんな問いかけに、交流サイト(SNS)などで反響が広がっている。

 前作は元西日本新聞記者の信吾さんと千恵さん、はなさんの共著で、映画化もされた。青春篇では、父子が喪失感やいじめなどの試練と向き合い、時に千恵さんが残した言葉に背中を押されながら、共に成長する姿が描かれる。

 家族など大切な人との死別は多くの人が経験する。読者は自らの体験と重ね、死別による悲嘆を癒やすグリーフケアの重要性と、悲嘆からのレジリエンス(回復力)に共感している。がんと闘う子育て中の母親は「読み終わって、やっぱり大丈夫って心から思う」。父母を早くに亡くした女性は「悲しみばかりではなく、改めて『生きる』ことの深さと素晴らしさも教えてくれた」と感想を寄せた。

 ミュージシャンのウルフルケイスケさんは「大事なのはやっぱり人とのつながり」。「安らぎを得るまでには試練と見える課題を一つずつクリアしなくてはならない。そんなことを教わった」と記した女性もいた。

 信吾さんは千恵さんの願いを受け継ぎ、食といのちをテーマにした映画「弁当の日 『めんどくさい』は幸せへの近道」を監督、製作した。新しい出会いや周囲の支えに癒やされ「喜びも悲しみも、苦しみもすべてに意味があった」と振り返っている。

 「青春篇」は1650円。文芸春秋=03(3265)1211。

(藤崎真二)

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