老人クラブ補助金、不適切受給が発覚 背景にチェック厳格化しにくい事情

 福岡市の老人クラブを巡り「活動実態が不明なのに市の補助金を受け取っている」といった情報が、西日本新聞「あなたの特命取材班」に複数寄せられている。うち1カ所のクラブについては、市が補助金の返還を請求した。不適切な受給は他にも存在する恐れがあるが、市のチェックを厳しくすることには限界を指摘する声も上がる。高齢者に領収書の精査などを求めると煩雑さから活動を敬遠し、お年寄りの貴重な交流の場となっているクラブが消滅する懸念があるからだ。

 福岡市が返還請求したのは、同市東区のクラブ。2月28日付で、2016、17年度の補助金計11万5200円を返すよう求めた。記録が残る過去5年間で、市が老人クラブに返還請求した初の事例となった。

 市によると、補助金は活動の支援が目的で、1団体に年間5万7600円を交付。会員が30人以上で、毎月20人以上が活動し、定期的に会費を徴収していることなどが要件となっている。市はクラブ側に毎年度末、要件を満たしたことを裏付ける事業実績報告書の提出を求め、交付が適正かをチェックしている。

 返還請求されたクラブについて、市は取材班の指摘で調査。報告書には、16年度に会員30人、17年度に29人から会費を徴収したとの記載があったが、取材班が関係者から入手した出納帳にはないことを確認した。両年度に会長を務めた男性は取材に「会費は徴収した。出納帳に記入しなかっただけだ」と報告書の虚偽記載を否定。だが、クラブ側は3月に請求額の一部を市に返した。

 取材班には他のクラブに関しても「会員名簿は名前を借り、資金の管理は不十分」などの情報が届いている。しかし、市高齢福祉課は「報告書に疑義があれば個別に出納帳の提出を求める」とし、現状のチェックで十分との認識を示す。

 ある行政関係者は「全ての領収書と出納帳の照合など、細かい報告を求めすぎると『活動しない』と言われる」と打ち明けた。会員の多くが70歳以上で、照合などの作業が楽ではないことが背景にある。実際、返還請求されたクラブは、不適切受給の発覚にコロナ禍も重なり、解散に追い込まれた。

 福岡市内のクラブは21年11月時点で700を数え、20年度の補助金は総額約4100万円に上った。市は帳簿の記入などの勉強会を今後も続け、適切な受給環境を整えるとしている。

 (竹中謙輔)

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